はじめに
私は自民党県議団を代表し、通告に従い、順次質問いたします。
まず、質問に入る前に一言申し上げます。
皆様ご承知のとおり、今年は、多くの犠牲者と未曽有の被害をもたらした東日本大震災から、既に5年の月日が過ぎ去りました。東北地方を初めとする被災地において、復旧・復興に向けた取り組みが進められているさなか、去る4月、熊本県を中心とする大規模地震が発生し、多くの犠牲者や負傷者、家屋の倒壊、行政施設の損壊など、甚大な被害をもたらしました。
改めて、このたびの地震により、とうとい命を失われた方々に謹んで哀悼の意をささげますとともに、今この瞬間も余震におびえる子供たちや、未来への不安を抱えながら困難な避難生活を余儀なくされている被災地の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
また、先日閉幕した伊勢志摩サミットにおいて、世界経済を初め、テロ対策、気候変動、エネルギー問題について活発な議論が行われた後、世界の平和、安全、繁栄を確保するための課題解決に向けた道筋を行動で示すとしたサミット宣言が採択されました。
さらに、サミット終了後、アメリカの大統領として初めて被爆地─広島を訪れたオバマ大統領は、平和記念資料館を視察し、慰霊碑に献花した後、招待された被爆者を初め関係者を前に演説し、罪なき人たちが犠牲となってきた過去の戦争を振り返り、改めて戦争の悲惨さを訴え、核兵器なき世界を追求する勇気を持たなければならないと指摘し、広島の地から核なき世界を主導していく決意を示しました。
まさに、こうした歴史的転換期に生きる私たちは、過去を振り返り、未来を展望し、精いっぱい、今この瞬間を生きることの大切さをかみしめなければなりません。
とりわけ、県政に携わり政治の場に身を置く私たちは、常に県民の命と暮らしを守り、明日を担う子供たちの未来を確かなものにするため、たゆまぬ努力を続けていくことが求められています。
私たち自民党県議団は、一丸となって、山積するさまざまな県政課題に真正面から向き合い、いかなる困難があろうとも、その解決に向け、最善を尽くしていく決意を改めてここに明らかにし、質問に入ります。
知事、教育長、警察本部長におかれましては、明快なご答弁をお願いいたします。また、先輩、同僚議員の皆様には、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
県政課題に対する知事の基本姿勢について
質問の第1は、県政課題に対する知事の基本姿勢についてであります。
平成28年度当初予算の執行について
我が国の経済は、アベノミクスの効果もあり、緩やかな回復傾向が続いていますが、一方で、年初からの株価の大幅な下落や、中国を初めとするアジア新興国の経済の減速により、景気の先行きに不透明感が増しています。
こうしたリスクに適切に対応するため、国では、安倍総理の指示により、経済対策として編成した27年度補正予算と合わせて、28年度予算についても、できる限り上半期に前倒しして実施することとしており、地方公共団体に対しても適切な対応を求めています。
こうした中、本県の28年度当初予算は、県政史上初めて2兆円を突破した過去最大の規模となっており、県内経済に与える影響が大きいことから、できる限り早期に執行することが望ましいところでありますが、その一方で、3月に公表された中期財政見通しでは、今後5年間で3,750億円もの財源不足が見込まれており、本県財政は依然として厳しい状況にあります。
こうした状況にあっては、2兆円に膨らんだ予算を使い切ることだけを考えるのではなく、効率的な執行に努めるなど、執行方法を工夫するとともに、事業の進捗状況を適宜確認し、予定どおり進んでいない事業については、原因を究明していくことも必要であると考えます。
平成28年度予算の早期執行について、どのように対応していこうと考えているのか、また、厳しい財政状況の中にあって、執行方法の工夫や進捗状況の管理についてどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
地方創生の推進について
現在、まち・ひと・しごと創生法に基づき、全国で地方創生の取り組みが進められています。国の発表によると、平成27年度末時点で、全ての都道府県と1,737の市区町村において、地方版総合戦略が策定されたとのことであり、地方創生は計画段階から実行段階へと移ることになります。
本県でも、今年3月に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定され、県内にしごとをつくり、安心して働けるようにする、神奈川への新しいひとの流れをつくる、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、活力と魅力あふれるまちづくりを進めるという四つの基本目標に沿って具体的な施策が進められているものと承知しています。
神奈川における地方創生を実現するためには、目標の実現に向けてあらゆる取り組みを進めるとともに、実施した施策の進捗をしっかりと把握し、取り組みが進んでいるか検証していくことが重要であります。
また、地域再生法が改正され、新たな財源措置も講じられており、こうした仕組みを活用していくことも大切であると考えます。
もとより、地方創生の主役は基礎自治体である市町村でありますが、財源面や人材面で悩みを抱えている地域もあり、県は、地域における取り組みがより効果的に進むよう、広域的な観点から地域活性化を進めるとともに、さまざまな形で地元自治体をサポートしていくことも必要であります。
本県では、現在、県内全ての市町村においても地方版総合戦略が策定されたところであり、今後は県と市町村が連携し、神奈川における地方創生を実現していく段階に来ています。
神奈川の地方創生の実現に向け、実施した施策の検証や市町村との連携も含め、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
ヘルスケア・ニューフロンティアの「ネクストステージ」について
知事が進めている政策、ヘルスケア・ニューフロンティアについては、我が会派もその動向や成果を注視しており、これまでも本会議等において質問や提言を行ってまいりました。
さきの第1回定例会の代表質問では、ヘルスケア・ニューフロンティアの次の展開について質問し、知事からは、ネクストステージに当たっては、未病サミット神奈川宣言の速やかな実行や、県民へのわかりやすい発信等について答弁がありました。
県では、これまで最先端医療・最新技術の追求と未病を治すの二つを柱として、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを進めてきましたが、ネクストステージでは、その成果をしっかりと県民に届ける必要があり、今年度の取り組みは、この政策の今後が試される、まさに試金石であると言えます。
こうした中、一つ目の柱である最先端医療・最新技術の追求では、県が川崎市殿町地区で整備を進めてきた再生・細胞医療の産業化拠点ライフイノベーションセンターがこの3月末に竣工しました。入居事業者も順次発表され、本格オープンに向けて準備が進められているものと承知しています。
我が会派は、かねてから、こうした最先端医療産業の創出による新たな産業の振興と最先端医療の県民への早期提供について、県の積極的な支援の取り組みを求めており、今般、センターの供用開始を受け、こうした動きがさらに加速することを期待しているところであります。
その一方で、再生・細胞医療が治療として県民の手の届くところに来ているか、また、地域経済に対して、雇用の増加といった効果を及ぼしているかというと、県民目線ではまだまだ遠いと言わざるを得ません。
今後、県は、センターの入居事業者や殿町地区に立地する事業者はもとより、国や関係自治体とも強く連携して、再生・細胞医療の実用化の促進に向けた取り組みを一層強力に進めるとともに、実用化に向けた方向性やビジョンを県民にわかりやすく示していくことも重要であります。
また、二つ目の柱である未病に関する取り組みについては、これまで健康寿命の延伸に向けた食、運動、社会参加による、よりよい生活習慣の確立や、未病産業の創出・育成に向けた取り組みが進められてきました。
しかしながら、未病というコンセプトはまだまだ県民に届いているとは言えません。日常生活の中で、健康面で特段の支障のない方にとっては、未病がみずからの問題として自覚されないことが多く、こうしたことも理解がなかなか進まない要因になっているのではないかと考えます。
今後、ネクストステージの展開を図る中で、ライフステージに応じた施策の展開を図っていくとのことですが、そのためには、未病というコンセプトをもっとしっかりと県民に届け、理解していただくための戦略が重要になってくると考えます。
次世代の医療として、また、成長産業として大きく期待されている再生・細胞医療について、治療の提供や雇用の創出など、産業面での効果といった県民への還元を早期に実現するため、今後どのように取り組んでいくのか、また、聞くところによると、知事は今、著書を執筆中とのことであり、その中では未病に対する思いも込められているのではないかと思いますが、ヘルスケア・ニューフロンティアのネクストステージを進めていく中で、未病の考えをどのように届けていくのか、知事の見解を伺います。
昨年開催した未病サミット神奈川2015in箱根では、未病について、幅広い分野の専門家による議論が行われ、未病の表現についてもさまざまな意見がありました。
この未病サミットで採択された未病サミット神奈川宣言では、未病状態の改善、維持に取り組むという表現が用いられました。これは、未病コンセプトをグラデーションモデルで示した際、そのほうが県民の皆様にはよりわかりやすいといった理由からでした。
そこで、県として、今後はこれまで使っていた未病を治すを含む、より広い概念である未病を改善するという表現で発信していきます。
引き続き、市町村や関係団体との連携も図りながら、こうした考えを丁寧に説明し、未病の改善という言葉を徐々に浸透させていきたいと考えています。
指定管理施設における「サービスの質」の確保・向上について
1点目は、「サービスの向上」と「管理経費の節減」のバランスについてであります。
本県では、平成17年度に津久井やまゆり園に初めて指定管理者制度を導入してから、本年4月で11年が経過したところであり、現在、県営住宅218団地を含む291の施設の管理運営を指定管理者が行っています。
本年3月には、指定管理者制度の運用に関する指針を改定し、指定管理者候補を選定する際の管理経費の節減の評価方式を改めたほか、管理経費の節減の配点を30点から25点に、団体の業務遂行能力の配点を20点から25点に変更しました。
この見直しにより、これまでと比べ、価格面よりも、良質なサービスの提供を重視した競争ができるようになるとのことであります。
民間のノウハウを活用し、指定管理施設における管理経費の節減を促すことは、県の厳しい財政状況が続く中で欠かすことのできない重要な視点でありますが、大切なことは、指定管理者制度の導入目的であるサービスの向上と管理経費の節減のバランスをとることであると考えます。
サービスの向上と管理経費の節減の二つの大きな目的について、県では、サービスの質的向上を重視する傾向にあるように思いますが、今後の指定管理者制度の運用に当たり、サービスの向上と管理経費の節減の両方のバランスをどのように捉えるのか、知事の見解を伺います。
2点目は、労働環境の確保の実効性に向けた更なる改善策についてであります。
指定管理施設におけるサービスの質を確保するためには、そこで働く方々の労働環境を確保する必要があり、適正な労働環境の確保は、働く方々のモチベーションアップを通じて、サービスの質の向上にもつながると思います。
県では、これまでも労働関係法令に基づいた指定管理業務の実施が見込めるかを評価した上で指定管理者候補を選定しており、法令に違反した場合の業務停止命令、指定の取り消しなど、指定管理業務の適正な運営を担保するための仕組みを設けているほか、さらに、労働環境セルフチェック表により労働環境確保の取り組みを確認するなどのモニタリングの強化を図っています。
しかしながら、ある指定管理施設で労使協定に違反する事例が見られたと、本年1月の包括外部監査結果で報告されました。
我が会派は、労働環境セルフチェック表によるモニタリングだけでは、果たして指定管理施設における労働環境をしっかり確保できるか疑問であることから、さきの第1回定例会の総務政策常任委員会において、我が会派の市川議員が、包括外部監査の指摘を真摯に受けとめ、同様の事態が再発しないよう、社会保険労務士などの労務管理に精通した専門家を活用することについても、前向きに検討するよう要望したところであります。
指定管理施設におけるサービスの質の確保・向上に大きく影響する労働環境の確保をより実効性のあるものとするため、今後、さらにどのような改善を図ろうとしているのか、知事の見解を伺います。
再質問
1点目は、地方創生の推進についてです。
市町村への支援について、新たに地域県政総合センターを中心とした体制を整備するとのことですが、地域県政総合センターはこれまでも市町村との連絡調整役を担っていたと承知しています。このたび整備する体制はどのようなものなのか伺います。
2点目は、ヘルスケア・ニューフロンティアの「ネクストステージ」についてです。
今後、未病を治すを直すとの答弁がありました。これからは未病を改善するという表現にするとのことですが、未病を治す神奈川宣言や横須賀・三浦地域における未病を治す半島宣言など、これまで取り組んできているものもあります。
今後、このことを県民の皆様や市町村、企業、関係団体の皆様にどのように伝えていくつもりなのか、知事の見解を伺います。
要望
それでは、何点か要望させていただきます。
初めに、地方創生の推進についてです。
市町村への支援体制を強化し、市町村と一丸となって神奈川の地方創生に取り組んでいくとの答弁でありました。
地方創生の主役は、住民に最も近いところで課題を把握している市町村でありますが、市町村の中には財政面、人材面で課題を抱え、十分に取り組みが進まないところもあると思います。
県として、そうした市町村の声をしっかりと受けとめ、神奈川の地方創生を進めるために、広域的な観点から市町村を支援することを求めます。
次に、ヘルスケア・ニューフロンティアの「ネクストステージ」についてです。
再生・細胞医療の成果を県民に還元するためには、まずは多くの有望な技術を県内に集積させ、実用化の可能性を高める環境整備や県の積極的な支援が必要であると思います。
治療としての実用化には一定の時間を要することは承知していますが、こうした環境を整備することで、例えば難病に苦しむ方々への新たな治療など、目に見える形で県民に還元できるよう、さらなる取り組みを要望します。
また、未病の考えを県民の皆様に届け、浸透させていくためには、市町村や関係団体の応援や理解は欠かせません。今後は、未病を治すを未病を改善するという表現にするということですが、関係者への丁寧な説明を強く求めます。
次に、平成28年度当初予算の執行についてです。
景気の下振れリスクを回避し、アベノミクスの効果をより確かなものとするため、当初予算で計上した事業については、できる限り早期に執行すべきであるということは言うまでもありません。
しかし、その一方で、予算は県民の皆様に納めていただいた貴重な税金でありますので、知事を初め、職員一人一人が常に意識し、無駄のない効率的な執行を心がけるとともに、執行の過程で課題が生じた場合には、その要因をしっかりと検証し、翌年度の予算編成に反映するよう要望します。
早期執行と効率的な執行は、いわば車の両輪であります。この二つを両立させ、県民の皆様が事業効果を実感できるよう努めることを求めます。
県民の安全・安心の確保について
質問の第2は、県民の安全・安心の確保についてであります。
熊本地震を踏まえた地震災害対策について
初めに、熊本地震を踏まえた地震災害対策について、3点伺います。
1点目は、本県の被災地支援の取組についてであります。
去る4月14日と16日に2度の震度7を記録した熊本地震が発生してから、1カ月半が経過しました。この地震の規模は最大マグニチュード7.3であり、活断層が原因ということで、21年前に発生した阪神・淡路大震災に匹敵する地震でありました。
熊本地震は多くの人的、物的被害をもたらし、死者は関連死も含めて5月30日時点で69名、多数の家屋の倒壊なども発生しました。また、ピーク時には約48万戸が停電するなど、ライフラインにも大きな被害がありました。
これまで懸命な復旧作業が進められていますが、いまだなお多くの方が避難生活を強いられています。被災地の方には心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復興を望むところであります。
被災地では、発災直後から、自衛隊や警察、消防などの応援部隊が救援活動に当たったほか、九州や関西以西を中心に全国の自治体が支援活動を展開しており、本県も義援金の募集や人的支援などを行ってきたことは承知しています。
一方、被災地では、全国から送られてくる物資の仕分けや、避難所運営を行う人材、被災建物の二次被害を防ぐための応急危険度判定士、建物の罹災証明の発行に携わる人材が不足するなど、要員不足により復旧活動が進まないといった課題が指摘されてきました。
大規模災害時に、被災地では、負傷者や避難者への対応、応援の受入業務などで多くの人員や物資が必要となり、被災自治体だけでは対応し切れず、被災地の外からの応援が不可欠となります。
今回の災害では、熊本県に近い九州地方や関西圏が支援の中心になっていますが、本県としても、できる限りの支援に努める必要があると考えます。
今回の熊本地震に対して、どのような考え方で支援に取り組んできたのか、知事の見解を伺います。
質問の2点目は、今回の地震で改めてクローズアップされた避難者対策についてであります。
熊本地震では、数多くの建物の損壊や、電気、ガス、水道などのライフラインの被害などから、多くの方が避難を強いられ、ピーク時には避難者は約18万人となり、今なお多くの方が避難生活を送っています。
今回の地震では、避難者への対応で幾つかの問題が指摘されています。
まずは、車中泊避難の問題であります。今回の地震では、強い余震が続いた影響などで、屋内を避け、避難所や公園、商業施設の駐車場などで多くの方が車中泊避難したと言われています。
また、車中泊以外でも、テントやビニールハウス、市町村が指定する避難所以外の民間施設等で避難生活を送る方も多く、自治体が実態を把握し切れていないことも問題視されています。
こうした車中泊避難の生活を送る方の中には、エコノミークラス症候群などで体調を崩され、医療機関に搬送された方や、お亡くなりになった、いわゆる災害関連死された方もいらっしゃると承知しています。
ほかにも、高齢者や障害のある方など、いわゆる避難行動要支援者への対応についての課題や、あらかじめ指定していた福祉施設などの被災や介護に当たる人員の不足などから、福祉避難所での受け入れが十分できなかったと報じられています。
こうした問題については、一たび首都直下地震などで人口の多い本県が被災した場合には、より多くの避難者が発生し、より深刻な事態になることが懸念されるところであり、熊本地震における対応を検証し、県としての対策をしっかりと講じておく必要があると考えます。
熊本地震で明らかになった避難者対策の問題に対して、今後どのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
質問の3点目は、熊本地震の発生を受けての本県の地震災害対策についてであります。
5年前の東日本大震災では、マグニチュードが9と規模が大きかったため、本県でも震度5強を記録するなど、強い揺れが広範囲に及びました。さらに、海溝型の地震であったため、巨大な津波が襲い、複合的に福島原発事故が発生しました。これにより、津波災害と原子力災害を中心に対策の充実強化が図られてきたと認識しています。
一方、今回の熊本地震は、活断層を原因とする内陸型の地震であり、震度7を2回記録し、余震も震度1以上が1,500回を超えるなど、これまで誰も想定していなかった初めての事例でありました。
この震源が浅く、激しい揺れにより、多くの建物が被災し、死傷者や多数の避難者も発生しました。また、活断層への備えや建物の耐震化、応援の受入体制など、幾つかの課題も明らかになってきています。
今回の熊本地震を受けて、改めて、大規模地震の怖さ、地震災害対策の重要性を再認識することとなりました。
本県にも、三浦半島断層群などの地震の発生が懸念される活断層が幾つか存在しており、熊本地震のような内陸部の直下で発生する地震への警戒が必要であります。
さらに、首都圏全域に影響を及ぼす首都直下地震や大正型関東地震など、警戒すべき地震も想定されており、地震災害対策は本県にとって最重要課題の一つであります。
本県では、東日本大震災を経て、「地震災害対策推進条例」の制定や、最新の知見に基づく津波浸水想定や地震被害想定、さらには、この4月にスタートした「地震防災戦略」など、地震災害対策の充実に取り組んできたことは一定の評価をしていますが、熊本地震における対応への課題などを検証し、地震災害対策の一層の充実を図るべきであると考えます。
熊本地震の発生を受け、県民の不安と関心も高まり、本県の地震災害対策の重要性が改めて認識されたところでありますが、今後どのような考え方を持って取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
地域医療構想について
昨年9月の代表質問の際、我が会派は、医師会や歯科医師会などの関係団体や市町村とも十分に連携をとりながら策定を進めるべきであると指摘しました。
その後、県は、県内八つの地域に設置した地域医療構想調整会議において、医療関係団体や市町村と密に意見交換をしながら、ともに検討を進め、現在、素案を作成している段階であると承知しています。
県の推計によると、本県は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年には約7万2,000床のベッド数が必要になるとのことであり、現在と比較すると、約1万1,000床のベッド数が不足するという計算になります。
また、在宅医療等の必要な人が2025年には約13万8,000人となり、現在と比較すると約5万5,000人の増、約1.6倍になるとのことであります。
これは大変な数字であり、このまま手をこまねいていると、2025年には県民が必要な医療を受けられなくなってしまうという事態を招くのではないかと懸念しています。
こうしたことが決して起こらぬよう、県民が必要な医療を受けられる社会をつくり、安心して老後を迎えることができるようにすることは県の責務であり、地域医療構想の中で、将来の医療提供体制の目指す姿について大きなビジョンを描き、県民が安心できる医療提供体制をつくり上げていくことが強く求められます。
2025年を見据えて、神奈川の医療提供体制の目指す姿をどう考え、それに向けてどのように対応していくのか、知事の見解を伺います。
ヘイトスピーチ対策について
本県議会では、一昨年の平成26年12月にヘイトスピーチの根絶に向けた対策を求める意見書を全会一致で可決し、国会及び国に提出したところでありますが、今国会において、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律が成立しました。
この法では、まず前文において、日本以外の国や地域の出身であることを理由として、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動が行われ、そうした人々が多大な苦痛を強いられるとともに、当該地域社会に深刻な亀裂を生じさせているとの認識のもと、こうした不当な差別的言動は許されないことを宣言しています。
そして、さらなる教育や啓発などを通じて国民に周知し、不当な差別的言動の解消に向けた取り組みを推進するために、この法律を制定することがうたわれています。
また、ヘイトスピーチの定義として、差別的意識を助長し、または誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉もしくは財産に危害を加える旨を告知し、または著しく侮辱するなど、日本以外の国や地域の出身であることを理由として、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動がこれに当たるとされています。
この法は、ヘイトスピーチが決して許されるものではないことを宣言し、その解消に向けた取り組みに関する基本理念を定めたものであり、本県議会の意見書で求めたヘイトスピーチを禁止する新たな法整備には至っていませんが、こうした新たな法が制定されたことは、ヘイトスピーチの根絶に向けた第一歩として評価できるものと認識しているところであります。
条文の中には、国の責務とともに、地方公共団体の責務として、国との適切な役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた施策を講じるよう努めることが掲げられています。
このたびの法の成立を受け、県の責務として、今後、ヘイトスピーチの解消に向け、どのように取り組みを進めていくのか、知事の見解を伺います。
サイバー空間の脅威に対する取組と今後の方向性について
近年、情報技術の急速な発展に伴い、自動車、ロボット等、あらゆるものがインターネットに接続されるなど、サイバー空間が国民生活や経済活動に不可欠な社会基盤として定着する一方で、その高い匿名性を利用した不正アクセス事犯、標的型メールによる企業や官公庁のホームページに対する悪意のある攻撃など、悪質な事案も見られます。
今年に入っても、サイバー攻撃を受けた企業や大学の保有する情報の外部流出事案、地方公共団体の職員による職務上知り得た個人情報の悪用による不正アクセス事案など、社会の耳目を集める事案が後を絶ちません。
こうした現状を踏まえ、本年3月、政府内において、専門技術者と一般行政部門をつなぐ橋渡し人材の計画的な育成を明記した強化方針が示されたところであり、国を挙げて、サイバーセキュリティの確保に関するさまざまな対策を推進しているものと承知しています。
本県は、ラグビーワールドカップ2019の開催に加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の一部競技会場が内定しており、電力や交通などの県内の重要インフラが、こうした国際的イベントを狙ったサイバーテロの脅威にさらされるおそれも指摘されています。
また、統計によると、平成27年中の県警察におけるサイバー犯罪の検挙件数は、前年に比べ135件増の初の1,000件台となり、また、相談件数については、615件増の2,200件を超える状況で、ここ数年でいずれも増加の一途をたどっており、昨年の県民ニーズ調査の結果においては、不正アクセスやインターネット利用犯罪が県民の不安を感じる犯罪として挙げられるなど、サイバー空間の脅威は県民の体感治安に影響を与えるものの一つとなっています。
本県においては、本年4月、県警内にサイバーセキュリティ戦略プロジェクトが新設され、サイバー犯罪にかかわる各部門の情報集約や分析、人材育成などに取り組んでいるものと承知していますが、プロジェクト発足から現在までの具体的な取組状況と今後の方向性について、警察本部長の見解を伺います。
再質問
本県の地震災害対策についてです。
熊本の例を見ても、大規模地震などの大きな災害時には、自衛隊や他都道府県の警察、消防、自治体職員など、全国から大量の応援部隊が被災地に投入されます。こうした支援をいかに円滑に受けるかという受援の問題が、災害対策の上で大きな重みを持つと思います。
知事からは、受援体制の充実についての答弁がありましたが、本県が被災した場合に備え、受援体制の充実に向けて、今後どのように取り組むのか、改めてお伺いします。
要望
それでは、何点か要望させていただきます。
初めに、熊本地震を踏まえた地震災害対策についてです。
地震発生から1カ月半が経過し、今後、現地の支援ニーズは応急対策から、復旧・復興対策へと変化していくと思いますので、本県としても被災地の支援要請に迅速、的確に応えて、被災地の一日も早い復旧・復興に貢献すべきであります。
また、今回の地震では、車中泊に伴うエコノミークラス症候群などで、いわゆる災害関連死する方がおられました。この問題に関しては、厚生労働省がDHEAT-災害時健康危機管理支援チームを創設する動きがあります。多様な専門職種の人材を有する神奈川県として、可能な対応を研究することを求めます。
今回の地震による災害は、いつ、日本のどこで起きてもおかしくありません。県民に対して殊さら不安をあおる必要はありませんが、本県では2年間の地震被害想定調査を経て、最大規模の地震による死者数を半減する目標を掲げた「神奈川地震防災戦略」を策定し、この4月から対策を進めています。
今後、この戦略の実効性を高め、本県で地震が発生した場合には、一人でも多くの県民の命を守れるよう、引き続き取り組みを進めるよう要望します。
次に、ヘイトスピーチ対策についてです。
ヘイトスピーチは人としての尊厳を傷つけ、地域でともに生きることを否定するものです。特にここ数年、特定の地域で繰り返し行われているヘイトスピーチは、そこに住む多くの人々に多大な不安や苦痛を与えてきたことは明らかであり、これを野放しにしておくことは決して許されるものではありません。
県は新たに制定された法律の意義を重く受けとめ、国や市町村ともしっかりと連携し、ヘイトスピーチの解消に向け、効果的な取り組みを進めるよう要望します。
次に、サイバー空間の脅威に対する取組と今後の方向性についてです。
インターネットを初めとする情報通信技術については、その発展に伴い、県民に豊かで便利な生活をもたらした一方、一たびサイバー攻撃などにより、重要インフラ等の機能に障害が生じれば、県民生活に重大な影響を及ぼすことになります。
警察における体制強化はもとより、県民や民間事業者等への広報、啓発活動のさらなる充実強化に努めるなど、引き続き県民の安全・安心の確保に目を向けた諸対策に取り組むことを求めます。
県政の最重要課題について
沖縄県における米軍関係者による事件について
先日、基地が集中する沖縄県において、米軍関係者による極めて凶悪な事件が発生し、被疑者として米軍軍属の男性が逮捕されました。被害者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆様、地元の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
このような事件は決してあってはならないことでありますが、現実には、米軍関係者による事件がたびたび発生しており、本県においても、平成18年と20年に横須賀市で米軍人による殺人事件が発生しています。
このように、米軍関係者により、何よりもとうとい人の命が奪われるという事態は大変残念であります。さらに、基地の地元において米軍関係者による事件がたびたび発生している事実は、我が国の外交の基軸である日米安保体制に対する国民の信頼を失墜させかねません。
今月25日、日米首脳会談が行われ、安倍総理はオバマ大統領に対し、実効的な再発防止策の徹底など厳正な対応を求めました。こうした状況を受け、翌26日には、政府が沖縄県における犯罪抑止対策推進チームを設置し、再発防止に向けた検討を始めたことは承知していますが、事件の重大性を考えれば、その再発防止は最優先の課題であります。
また、今回の事件では、基地の外に居住する軍属を我が国の警察が逮捕しており、直接的には、刑事裁判権に関する日米地位協定上の問題は生じていないと考えますが、こうした事件が起きる背景には、日米地位協定の問題があるのではないかという指摘もなされています。
多くの基地が所在する第二の基地県の知事として、また、渉外知事会の会長として、二度とこのような事件が起きることがないよう、しっかりと働きかけていくことが重要であります。
このたびの沖縄での米軍軍属による事件発生を受けての見解、及び再発防止に向けて今後どのように取り組んでいくのか、知事に伺います。
スポーツ行政の更なる推進について
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、新国立競技場の見直しや大会エンブレムの再選定などさまざまな経緯があったものの、新国立競技場については、昨年12月に新たな建設計画が決定し、大会公式エンブレムも、4月にようやく決定したことから、2020年の本大会に向け、今後、順調に準備が進むことを期待しているところであります。
本県においては、江の島にある湘南港がセーリング競技の会場となり、また、その前年の2019年にはラグビーワールドカップの決勝戦が横浜国際総合競技場で開催されることから、限られた期間の中で、地元自治体として各大会の準備を精力的に進めるとともに、機運の醸成が不可欠であります。
半世紀ぶりに我が国で開催されるオリンピック・パラリンピック競技大会は、アジアで初めて開催されるラグビーワールドカップとともに、県民のスポーツへの関心を大いに高め、県民一人一人がスポーツに接し、親しむ格好の機会であります。
こうした中、県では、この4月から新たにスポーツ局を設置し、アスリートの育成、障害者スポーツの推進、ラグビーワールドカップ2019、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会などのスポーツ行政に一体的に取り組んでいますが、今後は世界的なイベントである両大会を最大限に生かしながら、県民全体のスポーツの推進を図る、さらなる取り組みが求められると思います。
また、国においても、昨年10月にスポーツ庁を設置し、スポーツ施策を総合的、一体的に推進しています。
このように、スポーツは、今後ますます重要な行政分野として取り組むべきと考えますが、スポーツ局という新たな局の設置に当たっては、本県におけるスポーツ行政の目標や目的、あるいは施策の方向性を、スポーツ推進に係る条例の制定などで明らかにしていくことが重要であると考えます。
本県のスポーツ施策を今後どのように進めていくのか、スポーツ推進に係る条例の制定の考え方を含め、知事の見解を伺います。
そして、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックを契機に県民の皆様のスポーツへの関心を一気に高めていきます。そのため、県だけでなく、市町村やさまざまな団体と連携して、ラグビーやセーリングはもちろん、さまざまなスポーツを体験する機会や情報を積極的に提供していきます。
もちろん、こうした取り組みは県だけで実現できるものではありません。そこで、県は、本県のスポーツ振興の考え方や施策の方向性を明らかにし、県民等と共有するための条例を、本年度を目途に制定できるよう取り組んでいきます。あわせて、具体的な施策内容や工程を示した計画の作成にも取り組んでいきます。
県は、こうした取り組みを通じ、神奈川ならではのスポーツ振興施策を県民の皆様と一体となってつくり上げ、推進してまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組について
間もなくブラジル・リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。大会の成功を願ってやみませんが、この大会が終わると、いよいよ4年後の夏には東京大会の開催となります。
東京大会は国を挙げてのイベントであり、必ず成功させなければなりません。セーリング競技会場などを有する本県の責任も重大であります。
江の島で大会を開催するに当たってはさまざまな課題がありますが、昨年9月の本会議で我が会派の代表質問に対し、知事から大きな課題が三つある旨の答弁がありました。
1点目は、江の島の湘南港を利用しているヨットや漁船などの移動であります。
湘南港には約1,100艇の船があるとのことですが、大会時に移動してもらうためには、できるだけ早くそれぞれの所有者に具体的な方針を示し、話し合いを始める必要があると考えます。
2点目は、漁業者との調整であります。
江の島近海ではさまざまな漁業が行われており、県は漁業関係者と競技運営側との間の調整をしっかりと図る必要があると思います。
3点目は、選手等の宿泊や輸送であります。
さきの答弁では、選手村が予定されている東京都の晴海から江の島まで約70キロの距離があるため、会場近くに宿泊施設を確保することを検討するとのことでありました。競技を円滑に運営するためにも、そろそろ具体的な方針を出す必要があると考えます。
また、選手等が江の島会場に移動するには、江の島大橋が唯一のアクセス道路となります。しかしながら、現状でも土日祝日等は大変渋滞していることから、島内の住民からも対策を求める声が寄せられています。地元と一体となってセーリング競技を成功させるためにも、江の島大橋の整備が必要であります。
大会の運営主体が公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会であり、県が最終的な決定権限を有していないことは承知していますが、これらの課題について、県として方向性を示し、しっかり対応していく必要があると考えます。
セーリング競技実施に係る諸課題について、これまでの取組状況と今後の対応について、知事の見解を伺います。
待機児童解消に向けた取組について
本県の待機児童数の現状を見ると、平成22年4月1日現在で4,117人であったのをピークに年々減少し、27年4月1日現在では625人となっています。
本県は、「かながわグランドデザイン」第2期実施計画において、平成30年度までに待機児童ゼロを目指すことを目標として掲げ、市町村が実施する保育所等の整備を促進するとともに、昨年には、国家戦略特区制度を活用した地域限定保育士試験を全国で初めて実施するなど、これまでも保育所等の整備と保育士等の確保の両面で待機児童対策に取り組んできたことは承知しています。
こうした中、先般、国から、これまで公表してきた待機児童数に加えて、特定の保育所への入所を希望したため、待機児童数に算入されていないなど、いわゆる潜在的待機児童が全国で約4万9,000人いることが公表されました。
その後、国は3月末に待機児童解消に向けた緊急的な取り組みを発表し、今月には、我が党の提言を踏まえて、一億総活躍社会の実現に向けた具体的取組方針として、ニッポン一億総活躍プランを策定し、待機児童解消が進まない最大の要因である保育士不足を解消するため、保育士の賃金を引き上げ、処遇改善を図ることなどが打ち出されたところであります。
このように、国の取り組みは新たなステージに入っており、まさに、待機児童対策は待ったなしの状況にあります。
こうした状況を踏まえ、本県としても、保育の受け皿を確保するための保育所等の整備や、潜在保育士の職場復帰支援など、県内の待機児童対策に、より一層力を入れて取り組んでいく必要があると考えます。
そこで、知事に伺います。
国の待機児童対策の動向を踏まえ、県内の待機児童の解消に向けて、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
子どもの貧困対策の取組の推進について
平成26年7月に、国が発表した国民生活基礎調査の結果から、実に6人に1人の子供が平均的な生活水準の半分以下で暮らしている、いわゆる相対的貧困の状況にあるという非常にショッキングな事実が判明しました。
こうした子供たちの多くは、進学をあきらめたり、習い事を制限するなど、将来に対して希望が持てない状況にあると言われています。
県では、このような状況を踏まえ、昨年3月に「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」を策定し、改善に向けて取り組んでおり、我が会派では、計画策定以降、3度にわたる代表質問において、その進捗状況や課題等について質問してきたところであります。
さきの第1回定例会の代表質問においては、平成28年度に県が行う子供の貧困対策の総合的な取組について質問したところ、知事からは、新たに子供の視点を反映するための会議の設置や、市町村やNPOなどとの連携の強化について取り組んでいく旨の答弁があり、先般、第1回目の子どもの貧困対策会議が開催されたと承知しています。
貧困の状態にあると言われている子供の多くは、住むところがない、着るものがない、食べるものがないといった状況までには至っていないため、どのような現状にあるのか、また、どのような支援が必要とされているのか、周囲からはわかりにくいところがあります。
こうした点からは、子供の視点を踏まえて施策を進めていくことは非常に有意義であり、このような取り組みは全国的に見ても特筆されるべきものと考えます。
また、神奈川県子どもの貧困対策推進計画をより実効性のあるものとするためには、現場の業務を担う市町村との連携が不可欠であります。
そして、より多くの県民がこの問題に関心を持ち、支援を必要としている子供たちに気づいたときに、行政やNPOなどの支援につなげることができるようにしていくことが重要であると考えます。
そこで、知事に伺います。
子供の貧困対策を推進するためには、市町村との連携を強化するとともに、行政だけではなく、NPO、さらには県民が一体となって進めていくことができるようにするための機運の醸成も重要であると考えますが、県としてどのように取り組みを進めていくのか、知事の見解を伺います。
県立高等学校における入学者選抜に係る採点誤りについて
今年2月に行われた平成28年度県立高等学校入学者選抜の学力検査において、1名の受検者の答案に採点誤りがあることが判明し、これを受けて、学力検査を実施した全県立高校で再点検を行ったところ、88校で採点に誤りがあることが判明しました。
さらに、平成27年度入学者選抜についても再点検を行ったところ、71校で採点に誤りがあることが判明し、2カ年で合わせて518名もの受検者の採点に誤りがありました。
本県では、これまでにも平成12年度入学者選抜において採点誤りを起こしており、再発防止策を講じてきたにもかかわらず、再び採点誤りを起こしたことは厳しく指摘せざるを得ません。
今回、これだけ多くの採点誤りがあった事実について、県教育委員会は、入学者選抜だけにとどまらず、教育行政そのものに対する県民の信頼が大きく揺らいでいることをしっかりと認識する必要があると思います。
特に、4名の受検者については、本来合格とすべきところ、採点誤りによって不合格としており、このことは、受検者の一生を左右しかねない重大な誤りであり、大きく受けとめなければなりません。
3月に採点誤りが判明して以降、3月17日の文教常任委員会で報告を受け、我が会派としても、このことは看過できないとして文教常任委員会調査会の開催を提案し、同22日に開催して、さまざまな視点から質疑を行い、また指摘もしてきたところであります。
こうした中で、今回の採点誤りを受け、県教育委員会は、有識者を委員に加えた県立高等学校入学者選抜調査改善委員会を設置し、この委員会において、原因究明と再発防止、改善策、事後の検証方法について検討が行われていると伺っています。
この調査改善委員会からの中間取りまとめが5月12日の文教常任委員会に報告され、昨日も最終取りまとめに向けた協議が行われたことは承知しています。
今後、この調査改善委員会からの提言を受けて、県教育委員会としての再発防止、改善策が策定されることになると思いますが、再び採点誤りを起こすことがない方策でなければなりません。
そこで、教育長に伺います。
実効性のある具体的方策を策定し、入学者選抜に対する県民の信頼を取り戻していかなければならないと考えますが、平成29年度入学者選抜に向けて、今後どのような認識で取り組んでいこうとしているのか、教育長の見解を伺います。
再質問
それでは、1点、再質問させていただきます。
子どもの貧困対策の取組の推進についてです。
推進月間を定めるとのことですが、推進月間ではどのような取り組みをしていくのか伺います。
要望
それでは、何点か要望させていただきます。
初めに、子どもの貧困対策の取組の推進についてです。
県では、高校生や大学生の声を取り入れるための会議の設置や、さらには新たな推進体制を構築するなどの取り組みをしているとのことでした。また、ポータルサイトの開設や8月を推進月間に定めて県民の意識の醸成を図るとのことであり、これらは自治体レベルではかなり先進的な取り組みであると思います。
しかし、子供の貧困はその実情は非常にわかりにくく、子供が困っている状況が全ての県民に正確に伝わらなければ、県民が一体となった取り組みは難しいと思います。そのためにも、会議で出された高校生や大学生の声、ポータルサイトで聞き取ったひとり親の声などがより県民に伝わるよう努めることを求めます。
次に、沖縄県における米軍関係者による事件についてです。
知事から、米軍関係者による事件の再発防止に向け、渉外知事会での緊急要請に加え、実効性ある対策を日米両国政府に求めていくとの答弁がありました。
我が会派としても、再発防止策は最優先課題と考えていますので、しっかりと日米両国政府に働きかけ、確実な再発防止に努めるよう要望します。
次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組についてです。
選手村や江の島大橋の3車線化の実施などについて明快な答弁がありました。大会を成功に導くためには、地域の方々の理解と協力が不可欠であり、また多くの部局にわたる全庁的な取り組みが必要であります。
大会の運営主体が組織委員会であり、県が調整役として苦労していることは十分に承知しておりますが、大会の成功に向けて知事が先頭に立ち、全庁挙げて取り組んでいくよう要望いたします。
おわりに
きょうは新年度に入り、初めての代表質問ということもあり、さまざまな県政課題に対し、率直に提言を交えながら質問、質疑を行いました。
知事が就任され5年が経過し、これまでヘルスケア・ニューフロンティアや未病、さらにはこのたび人生100歳時代の設計図といった耳なれない言葉を使い、さまざまな試みを提案されてきました。しかし、残念ながら、県民の皆様にはその成果を実感できるには至っていないのが現状です。
政治は理想の旗を掲げ、それを追求していくことが大切です。その一方で、政治は結果責任と言われるとおり、厳しくその結果や成果が問われるということは、改めて言うまでもありません。
知事は、先日、本会議において、イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルの言葉を引用し、提案説明を締めくくりました。
偉大な政治家として、さらにはノーベル賞作家としても名高いチャーチルは、同じく次のような言葉を残しています。希望は大事にしよう、しかし、現実をないがしろにしてはならないと言っています。
知事におかれましては、子供の貧困対策、児童虐待、生活困窮者問題、障害者福祉といった待ったなしの課題についても、こうした現実にしっかりと目を向け、その本質を見きわめ、具体的かつ実効性のある対策を講じ、県民の皆さんがその成果を実感できるよう、なすべき施策を着実に推進されるよう要望し、私の質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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