はじめに
自民党県議団を代表し、質問します。
知事、教育長並びに警察本部長におかれましては明快なご答弁を、また、議員の皆様にはしばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。
質問に先立ち、一言申し上げます。
この週末、日本列島を襲った台風18号は愛知県付近に上陸後、北上を続け、各地に大きな爪跡を残しました。被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。また、今後、迅速な復旧作業が行われるとともに、一日も早く以前と変わらぬ穏やかな日常生活を取り戻されることを祈念し、質問に入ります。
県民の安全・安心の確保について
ヘルスケア・ニューフロンティアの取組について
今後、本県は全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進展することを踏まえると、健康寿命日本一を目指す取り組みは非常に重要であると考えております。
我が会派の第2回定例会の代表質問において、知事の任期折り返しを迎えての感懐について質問したところ、超高齢社会が圧倒的な勢いで進む状況において、新たにヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを提案し、健康寿命日本一を目指すとの発言がありました。
本定例会の知事提案説明においても、この取り組みを進め、誰もが元気で長生きできる社会を目指していくとの提案がありました。
ヘルスケア・ニューフロンティアとは、最先端医療や最新技術の追求、そして未病を治す、この二つのアプローチを融合することにより、個別化医療を実現し、健康寿命日本一を目指すという取り組みとのことです。
しかし、このヘルスケア・ニューフロンティアという新しい考え方は、まだまだ抽象的で、イメージが先行している感を否めません。
ヘルスケア・ニューフロンティアを推進する取り組みとしては、ライフイノベーション国際戦略総合特区において、最先端医療や最新技術の研究が進められていると聞いていますが、一方、県民の皆さん一人一人の健康づくりへの意識を啓発する、食や運動を基本とした生活習慣改善につなげる着実な取り組みも重要で、その双方が相まって達成されるものと考えます。
また、最近では、全国各地でヘルス・ツーリズムという健康志向の視点からの新しい旅の形も注目されており、県内には日本有数の観光地や温泉地などもあることから、未病を治すという点では、今後このような地域の魅力を生かした取り組みも重要であると考えます。
現在、健康寿命日本一を達成するための効果的な施策を検討するため、外部有識者などで構成される健康寿命日本一戦略会議を立ち上げ、検討していることは承知しています。本県がより効果的な取り組みを進めるためにも、戦略会議で出された意見や提案のほか、先進的な他県の取り組みも参考にする必要があると考えています。
さらに、本県が、健康寿命日本一を目指すためには、短期、中期、長期の各視点に立って、目標やスケジュールを具体化し、その達成に向けて効果的な施策展開を図ることが大切であります。
そこで、知事に伺います。
現時点において、ヘルスケア・ニューフロンティアを推進し、健康寿命日本一を達成するために、どのような目標を設定し、また、どのような施策を推進していこうとしているのか、知事の見解を伺います。
災害時に備えた医療・福祉施設の業務継続計画について
災害復旧に向けた取り組みの中で、重要な考え方の一つに業務継続計画というものがあります。これは別名BCPと呼ばれ、災害発生時にも最低限の機能を維持し、その後、迅速に本来業務を復旧させるために、自治体や企業などがあらかじめ策定しておく計画であります。
我が会派ではこのBCPの重要性に着目しており、これまでの県議会においても、市町村や中小企業のBCP策定に向けた支援などについて提言してきました。
そうした状況を踏まえ、今回取り上げたいのは、特に医療機関や福祉施設におけるBCPであります。
県民生活の安心を担保する上では、病人や高齢者、障害者などがふだん利用している医療機関や福祉施設が被災しても、早くもとの機能を取り戻すことが大変重要です。しかしながら、公共機関や大企業に比べ、医療機関や福祉施設はBCP策定の取り組みが著しくおくれています。
さきの東日本大震災では、被災地復興の過程で、医療機関や福祉施設等の復旧がおくれ、患者や入所者が大変な苦労をされたと聞いています。
内閣府が行った調査でも、大企業の46%、企業全体でも30%以上が業務継続計画を策定済みであったのに対し、医療機関で策定済みは7%、福祉施設では策定済みはわずか4.5%でありました。
本県の状況について、例えば県内に33カ所ある災害拠点病院については、災害対応の機能を含めて業務継続の体制が整備されていますが、その他の中小の病院や特別養護老人ホーム、障害者支援施設などにおいては、事前の準備がどの程度されているのか、把握されていないのが現状です。
一方で、例えば、今月上旬には、横浜市で団体主催による福祉施設向けのBCP研修会が開かれるなど、一部では主体的な動きが出てきています。
こうした現状を踏まえ、県としても、まずは県内の医療機関や福祉施設が災害時の業務の維持や復旧についてどの程度準備をしているのか、実態の把握を図るべきであります。その上で、災害に備えた業務の維持や復旧の体制づくりについて、市町村と連携して支援を行うことが重要であると考えます。
そこで、知事に伺います。
災害時に重要な役割を果たす業務継続計画について、県民生活の安心確保や災害弱者の保護の観点から、これまで策定が進んでいない医療機関や福祉施設においても、県は市町村と連携して、計画の策定支援を含め、災害時に備えた業務継続の体制づくりを促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
がん緩和ケア対策について
がんは、本県の死亡原因の第1位であり、3人に1人ががんで亡くなっています。今年の3月、県は、医療施策推進の根本理念である「神奈川県医療のグランドデザイン」の策定や、国が新たにがん対策推進基本計画を策定したことなどを受け、神奈川県がん対策推進計画を策定したところであります。
県がん対策推進計画では、国の計画を受け、新たにがん患者への支援とがんに対する理解の促進を施策の柱に加え、今後の本県におけるがん対策の方向と内容が示されています。
治療しながら働きたいと考えているがん患者の就労問題や、国民病とも言えるがんについての理解を進めるために、今後、がん患者の就労支援やがん教育について、専門家を交えた検討を県でも始めると聞いています。国もこれらの対策に向け、モデル事業や検討を始めており、県もこれらの動向や情報を捉え、県としての対策を進めていただきたいと思います。
我が会派では、これまで県民が身近な地域で高度ながん医療を受けられるよう地域がん診療連携拠点病院や、県独自の神奈川県がん診療連携指定病院の整備を働きかけてきました。
これにより、拠点病院は二次保健医療圏に原則1病院という国の基本的姿勢の中、本県では、全ての二次保健医療圏で拠点病院の整備が進められているとともに、複数の二次保健医療圏で二つ以上の拠点病院が整備され、現在、都道府県がん診療連携拠点病院である県立がんセンターを含めて、15の拠点病院が整備されています。
このような高度ながん医療の拠点整備が進む一方、がん患者とその家族が可能な限り質の高い生活を送れるよう、身体的、精神心理的、社会的苦痛を含めた全人的な対応を行う緩和ケアの重要性は一層高まるばかりであります。
緩和ケア病棟については、現状では、11ある二次保健医療圏のうち、川崎北部及び県央を除く九つの二次保健医療圏で整備されていますが、緩和ケアの推進に当たっては、県がん対策推進計画でも目標として掲げているように、全ての二次保健医療圏に1カ所以上の緩和ケア病棟を整備し、がん患者が身近な地域で緩和ケアを受けることができるようにすることが重要であります。
現在、緩和ケア病棟が整備されていない川崎北部及び県央の二つの二次保健医療圏には、速やかな緩和ケア病棟整備が強く求められているところであります。
また、あわせて、がん患者やその家族に対する緩和ケアへの理解の促進や緩和ケアの提供体制の充実を図ることも必要であります。
そこで、知事に伺います。
がん患者や家族に対して充実した緩和ケアを提供するに当たり、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
在宅医療について
本県では高齢化が急速に進展しており、2010年に182万人であった高齢者数が、2025年には231万人に達し、高齢化率も20.2%が26%に上昇すると見込まれています。
こうした中、県では超高齢社会の課題を克服するプロジェクトとして、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みにより健康寿命日本一を目指すこととしています。
しかしながら、それでも病気になってしまった場合、医療需要の増加に対応する病床数の増が見込めない中、入院による治療の期間を短縮し、慢性期・回復期には自宅での療養が可能となるよう、地域ごとに医療・介護・福祉が連携して、継続的・包括的に患者を支える体制を整備する必要があります。
このため、本年3月に策定した保健医療計画に在宅医療を位置づけ、今後5年間で取り組む施策を整理したところであります。また、8月に策定した地域医療再生計画にも在宅医療を位置づけ、市町村が郡市区医師会と連携して行う人材育成事業や連携拠点づくり事業に対し補助することとしており、今定例会に予算案が提案されているところであります。
「いのち輝くマグネット神奈川」の実現を目指す本県として、在宅医療の体制整備は待ったなしの課題であり、市町村と連携して積極的に推進する必要があります。
そこで、知事に伺います。
本県の在宅医療推進に当たってはどのような課題があり、それらの課題に県としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
再質問
再質問を2点いたします。
まず、1点目の再質問は、がん緩和ケア対策についてであります。
緩和ケア病棟の整備については、県からも要望があり、平成24年の診療報酬の改定で、国が緩和ケアの評価を充実したことは、前向きの要素として理解いたしました。
一方で、県財政が厳しい中、新たにインセンティブとしての施設整備補助を行うことが困難であることは承知しております。
そのような状況下で、県がん対策推進計画の目標達成に向けて、川崎北部及び県央の二次保健医療圏の緩和ケア病棟の整備について、今後どのように取り組んでいくのか、改めて伺います。
2点目の再質問は、在宅医療についてであります。
県では、超高齢社会を見据えて在宅医療の仕組みづくりを進めているところですが、一方、多くのがん患者の方々が自宅での療養を希望していると思います。そこで、がん患者の方々に対する在宅での緩和ケアの提供について、今後どのように取り組まれるのか伺います。
要望
ご答弁いただきましたけれども、知事も把握しているということですが、川崎北部及び県央の二つの二次保健医療圏の速やかな緩和ケア病棟の整備を強く求められておりますので、ぜひとも早急に対応していただけるようお願いいたしたいと思います。
また、在宅医療についても、私も、私の母ががんを発症いたしまして、何度かの入退院を繰り返した後、今は自宅での療養をしておりますけれども、家族を含め、協力のもと、かなりいい数値になってきているということでもありますし、また、そういった精神的なものがこの病気を治すということもあると思いますので、ぜひそういったことを全神奈川県下のがんの患者の人たちに対しても、そういった、どこに相談しに行けばいいのか、そしてまた、緩和ケアの病棟についてもそうですけれども、たくさんの方が助かるような、そういったものをつくっていってほしいなというふうに思っております。
そして、最後に、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みについて要望いたしますが、健康寿命日本一への取り組みを進める上で、県民の健康はもちろんのこと、海外からの来訪者も含め、県外から神奈川県を訪れる全ての方々が健康になるといった、そういう視点も重要であると思っています。
ついては、本県の健康寿命日本一への取り組みが全国のモデルとなるよう、魅力ある施策の展開を図られることを要望いたします。
次世代を担う人づくりについて
質問の第2は、次世代を担う人づくりについてであります。
平成27年度から本格施行が予定されている子ども・子育て支援新制度においては、幼稚園・保育所について、介護保険と類似した利用者の認定制度や幼児教育・保育に対する共通の給付制度が導入されることとなっています。27年度の新入園に向けては26年の秋から園児募集を始めることとなるため、予定どおりであれば、この新制度導入まで、実質的にはあと1年しか準備期間がありません。
そこで、短期間のうちに大きな制度変更が予定されている子ども・子育て支援について、新制度への円滑な移行がなされ、かつ、より子育てしやすい神奈川の実現につながることが重要であるという視点に立ち、2点質問いたします。
認可保育所の定員増について
新制度では、保育が必要な子供に対する保育認定を行い、認定証を交付する仕組みが導入され、特に、パートタイマーなど短時間就労に対応するため、保育短時間という保育認定が新設されることが予定されています。これによって、短時間就労の保護者にも認可保育所を利用する道が開かれることは画期的であり、税と社会保障改革の一丁目一番地に位置づけられる施策とも言えます。
本県内の保育事情を見ると、近年、安心こども基金を活用して急ピッチで保育所の定員増が図られ、県内の公式の待機児童数は1,000人台まで減少したものの、認可保育所の整備率は約24%と、都道府県別では全国最下位の水準と承知しています。
このため、本県内では、認可より保育料は高いのに施設面などで見劣りがする認可外保育施設にやむなく入所している潜在的待機児童が、都市部を中心に依然として多くなっています。新制度移行後は、このような認可外保育施設の入所児童の大半が保育認定を受け、潜在的な保育需要が一気に顕在化することが予想されます。
今後は、このような潜在的な待機児童数も視野に入れて、認可保育所の定員増を図らなければ、新制度導入後、保育認定証の交付を受けても、認可保育所を利用できないケースが多発し、子育て中の県民の不満の種となってしまうことが心配されます。
国が、待機児童解消加速化プランで、新制度導入までに全国で20万人分の保育所定員増を打ち出してきたのも、このような都市部の保育事情を踏まえたものと考えられます。
そこで、知事に伺います。
平成27年度から予定されている新制度導入に先駆けて、26年度末までに全国で20万人分の保育所定員増を目指す国の待機児童解消加速化プランを活用し、新制度導入までも積極的に、潜在的な待機児童も視野に入れた認可保育所の定員増を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
新制度の影響を大きく受けることとなる私立幼稚園への対応について
私立幼稚園は、新制度への移行を希望しなければ、現在の私学助成にとどまることもできるとされているものの、新制度の内容が複雑な上、いまだ具体的な内容が明らかになっていない部分も多いため、幼稚園関係者は迷いと不安でいっぱいであります。
また、保育士不足が大きくクローズアップされ、その陰に隠れてしまっている感がありますが、幼稚園教諭の人材確保も問題です。実は、新卒保育士の多くは幼稚園教諭免許も持っているため、幼稚園と保育所のどちらに就職するか選択できます。このため、保育所に就職する新卒者がふえると、幼稚園に就職する新卒者が減ってしまうこととなります。
今後、新制度導入に向けて、待機児童解消加速化プランによる保育所整備に拍車がかかると、そのあおりを受けて、幼稚園教諭の人材確保の困難も増してきます。
本県は、全国的に見て、就学前児童の教育・保育において、私立幼稚園の占める割合が高く、それが神奈川の特徴でもあります。このような中で、新制度の円滑な導入を図る上では、私立幼稚園への対応が鍵を握っていると言っても過言ではありません。
私立幼稚園は、子ども・子育て支援新制度の大きな影響を受けることになりますが、関係者は、複雑でわかりづらい新制度に戸惑い、制度移行のスケジュールが非常にタイトなことに焦りを感じている上、保育士不足の深刻化に伴う幼稚園教諭の不足についても不安を募らせています。
そこで、知事に伺います。
県として、新制度導入に向けて、私立幼稚園への対応については、どのような姿勢で臨まれるのか、幼稚園教諭の人材確保も含めて、伺います。
特別支援学校の職業教育の充実について
次に、特別支援学校における職業教育の充実について伺います。
特別支援学校に在籍する児童・生徒がふえています。とりわけ、知的障害教育部門高等部の生徒は増加傾向が顕著で、障害のある生徒が社会的に自立できるよう、職業教育を充実させながら就労の拡大に取り組むことが重要であります。
特別支援学校では、生徒一人一人の教育的ニーズに応じて、校内での指導に加えて産業現場での実習等、卒業後の自立と社会参加を目指した多様な職業教育が展開されています。
また、障害者の雇用に関する国の動きとしては、今年4月からは障害者の法定雇用率が2%に改正されています。さらに、文部科学省の平成26年度の概算要求には、自立・社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育の充実事業等が盛り込まれています。加えて、神奈川の教育を考える調査会最終まとめで、地域における自立促進の仕組みづくりとして、県立の専門高校と特別支援学校が連携した実習プログラムや職業体験プログラムの工夫等が盛り込まれています。
こうした状況の中で、障害者の雇用を促進したいと考える企業もありますので、企業等と連携した就労支援の取り組みは一層重要であると考えます。また、特別支援学校では、実習先の拡大に加え、職業教育で障害のある生徒が目標を持って主体的に学習することで、働くために必要な力の育成を図り、生徒の適性や企業のニーズに合った就労支援を進める必要があると考えます。
例えば、広島県のように、職業教育に生徒が目標を持って意欲的に取り組めるよう独自の技能検定を実施することも有効な方法と考えます。
そこで、教育長に伺います。
特別支援学校の企業と連携した就労支援と就労状況はどのようになっているのか、また、今後、職業教育の中で技能検定等を実施されるのか、伺います。
再質問
認可保育所の定員増について再質問いたします。
ただいま、知事から、子ども・子育て支援新制度導入までの待機児童対策についてご答弁いただいたところでありますけれども、本県の認可保育所の整備率が大変低いことを踏まえますと、新制度による保育認定を受けた子供全員が、制度移行後、直ちに認可保育所を利用できるようになることは、現実にはなかなか難しいと思われます。
しかしながら、後年度負担の増加を心配して、認可保育所の供給を拡大することに消極的な市町村も少なくないと聞いており、平成27年度から5年分の保育所の供給量を定める市町村子ども・子育て支援事業計画と、同時に策定する県子ども・子育て支援事業支援計画の策定が大変重要になってくると考えます。
県では、先日9月9日に第1回の県子ども・子育て会議が行われ、計画策定に向けた検討に着手したところと承知しておりますけれども、今後、市町村及び県の計画における保育所の供給量の目標設定について、どのような考え方で臨んでいくのか、伺います。
要望
今の認可保育所の定員増についてでありますけれども、今、知事がおっしゃったとおり、いろいろな形でのこれからの定員増というのは、施設の形というのは、いろいろなあり方があると思うんですけれども、いろいろなことを県がリーダーシップをもって、市町村にも働きかけをしていただきたいと思います。そして、この目標設定に関しましても、市町村に対して、県のほうからこの目標設定を上げていただけるように働きかけをしていただきたいと思っております。
また、あと、2点ご要望させていただきますが、私立幼稚園への対応についてであります。
私立幼稚園については、新制度が園の将来にもたらす影響が極めて大きいことに最大限配慮して、十分な対応をお願いしたいと思います。
特に、幼稚園教諭の不足については、保育士不足の陰に隠れて、マスコミでもほとんど取り上げられていませんけれども、幼児教育の根幹にかかわる重要な問題であると考えております。今後、県としても、早急に現状を把握するとともに、必要があれば、国への働きかけも行っていくよう要望いたします。
ちなみに、私の娘も幼稚園、保育士の免許を取りましたけれども、今年、幼稚園教諭になりました。幼稚園教諭の父としても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、特別支援学校における職業教育の充実についてであります。
特別支援学校の職業教育に対する取組状況や、技能検定を実施しようとする方向性については理解いたしました。障害のある生徒の自立や社会参加を進める上で重要なことと考えていますので、速やかな実施に向けての計画をまとめられるよう要望いたします。
また、先ほど教育長からお話もありましたように、企業との連携というのはとても大事だと思います。企業のニーズに合わせた形で、特別支援学校との連携というのはしっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。
県政の諸課題について
質問の第3は、県政の諸課題についてであります。
2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について
2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定しました。この喜ばしい報を受けて、政府では文部科学省内に準備本部を設置し、東京五輪担当大臣を新設いたしました。また、東京都では、庁内一丸となって開催の準備をするための庁内横断組織を設置したと聞いています。
県内では、横浜国際総合競技場がサッカーの競技会場になっているだけでありますが、都心に集中する競技会場や、空の玄関口となる羽田空港との交通が至便な本県にとってみれば、今回のオリンピック・パラリンピックの開催は、経済を活性化する絶好の機会となります。
そこで、知事に伺います。
今回のオリンピック・パラリンピックの開催を受けて、県では、観光を初めとする県経済の活性化にどのように結びつけていこうとしているのか、また、隣接県として、可能な限りの支援や応援をしていくべきと考えますが、そのための組織体制をどのように整備していくのか、あわせて伺います。
海外駐在員事務所のあり方について
第2回定例会における我が会派からの海外戦略についての代表質問に関して、知事からは、今後の中小企業の海外展開支援について、進出ニーズの高いアジア地域を重視する、直接進出に対する支援を強化することが必要であるとのご答弁がありました。
また、具体的な支援策としては、今年1月に県内中小企業の海外展開支援に関する協定を締結した民間金融機関等との連携を強化するとともに、進出ニーズの高いアジアでの体制整備を早急に検討し、調整するということで、海外駐在員事務所について、知事からは限られた資源を効果的に活用していくという観点から、海外駐在員事務所の配置全体について検討していくとのご答弁がありました。
これまで我が会派では、海外駐在員事務所のあり方について、設置目的の妥当性、ビジョンの有効性、時代の変化への適合性などを絶えず検証することが大切であり、県民や県内企業のニーズをしっかりと把握し、さらには本県の置かれた現状、今後の見通しなどを総合的に判断して、配置先を検討すべきであると提案してきました。
こうしたことからも、今回、知事が中小企業のニーズ等を踏まえて、アジア重視の方向性を示し、海外駐在員事務所の配置の検討に着手されたことは、我が会派としても評価するものであります。
そこで、知事に伺います。
海外駐在員事務所の配置については、知事が示した方向性に沿って、効果的な配置を行う必要があると考えますが、第2回定例会以後、これまでの間、海外駐在員事務所の配置に関しての検討状況並びに今後の方向性について、伺います。
児童虐待の発生予防の取組について
県内の児童虐待相談対応件数は、平成24年度、8,324件で、これまで最多であった平成22年度の7,466件を大幅に上回り、過去最多となっています。児童虐待相談対応件数の増加は、県民の児童虐待に対する関心の高まりや、関係機関等に通告義務の周知が図られたことから、早い段階での通告がふえてきたものであり、早期発見につながることで、重篤事例となることを防ぐのに一定の効果もあると聞いています。
一方、全国に限らず、本県においても、児童虐待による死亡事件等、深刻な事案も引き続き発生しており、実際に児童虐待相談対応件数がふえているという事態を重く受けとめるべきであると認識しています。
これまで児童虐待防止対策として、県は児童相談所の体制を強化し、市町村の要保護児童対策地域協議会を通じて、保健、教育、警察など関係機関との連携を図り、早期対応に積極的に取り組み、県民の身近な地域における児童虐待の相談体制の強化を図ってきたと承知しています。
しかし、児童虐待防止対策として最も重要なことは、虐待が発生してから対処するのではなく、虐待そのものを減らしていくことではないかと考えます。
医療の分野でも、知事は、病気を治すということではなく、発病には至らない症状のうちに治すという未病対策のアプローチを提唱されていますが、児童虐待防止対策においても同様に、発生予防の観点からの取り組みが必要ではないかと考えます。
そこで、知事に伺います。
児童虐待の発生予防の観点から、県は現在どのような取り組みを行っているのか、また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。
体罰根絶に向けた取組について
昨年末、大阪市立高校における体罰を背景とした痛ましい事件の発生を受け、全国的に実施された体罰の実態調査で、残念ながら、本県においても多くの学校で体罰が確認されました。
さきの第2回定例会で、我が会派の代表質問において、この実態に対する認識と、今後の取り組みについて伺い、教育長から体罰の根絶に向けて、学校、保護者、市町村と一体となって取り組むという決意が述べられたところであります。
その後、教育委員会が体罰防止ガイドラインを作成し、教職員に実践例も含めた具体的な研修を実施するとともに、生徒、保護者の不安をなくすため、総合教育センターに加え、新たに教育委員会内にも体罰専用の相談窓口を設けるなどの対策に取り組んだことは承知していますが、体罰根絶を実現するため、今後も継続的に対応していくことが必要と考えます。
また、先日、県議会文教常任委員と教育委員とで体罰防止について意見交換を行い、体罰防止ガイドラインの活用や体罰が発生する社会的背景などについて議論したところであります。
体罰は学校だけではなく、地域社会のいわゆるスポーツクラブにも発生していると聞いていますが、学校とも関連の深い地域のスポーツ団体にも、体罰は決して許されるものではないという認識を浸透させていくことも必要と考えます。
そこで、教育長に伺います。
体罰根絶は早急に実現すべきものでありますが、その実態を把握するため、昨年度末に実施した体罰の実態調査は継続すべきものと考えています。また、地域スポーツ団体等における体罰相談の窓口の設置や指導者への意識啓発も必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取り組みについて
社会における女性の参画は徐々に増加しているものの、さらなる女性の活躍を推進するためには、実効性のあるポジティブ・アクションを推進することが必要であります。
その一方で、平成25年警察白書によると、女性が被害者となった刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、女性の生命を脅かすストーカー事案、DV事案や、女性の尊厳を踏みにじる性犯罪の認知件数は増加しつつあり、女性被害者等に対する多様な対応が求められているところであります。
こうした社会の情勢に柔軟に対応し、治安を維持するには、従来の警察活動に加えて、女性警察官の活用が不可欠であります。女性の視点を初めとするさまざまな女性の力を積極的に取り込むためには、女性警察官の採用を拡大し、警察の組織力を質的に強化する必要があり、さらに、女性警察官がその能力を十分に発揮し、組織を活性化していくためには、能力や実績を有する女性警察官を積極的に登用すべきだと考えています。
そのような中で、県警察においては、平成33年4月1日までに女性警察官の割合が10%程度となることを目標として、女性警察官の採用の拡大を図っているところでありますが、優秀な女性警察官を採用するためには、工夫を凝らした採用活動の強化が必要であります。
また、採用後についても、出産、子育て等により離職するような状況があるとすれば、県民及び警察にとっても大きな損失であり、職員本人にとっても、警察官の道を断たれることとなることから、仕事と家庭の両立支援策の推進や施設整備の充実などを図り、女性警察官が子育てをしながら働き続けるための環境を整えることも重要であると考えています。
そこで、警察本部長に伺います。
県警察では、女性の視点を一層反映させた対策の推進や女性の力を活用した強く優しい警察に向けて、優秀な女性警察官を採用するため、どのような工夫を図っているのか、また、採用された女性警察官が働き続けられるための環境整備について、どのように取り組んでいるのか、伺います。
再質問
再質問を2点いたします。
まず、1点目の再質問は、海外駐在員事務所のあり方についてであります。
海外駐在員事務所について、再編を、今後具体化していくためにさまざまな課題があると推察しますが、現時点ではどのような課題があると認識しておられるのか、また、先ほどご答弁がありましたように、欧州事務所を廃止した場合、同事務所が担っていた企業誘致、県内中小企業の欧州での海外展開支援については、今後どのように対応していくのか、あわせてお伺いします。
2点目の再質問は、体罰根絶に向けた取り組みについてであります。
体罰問題につきましては、教育長から、実態把握のための調査を昨年度に引き続き実施するというお答えをいただきましたけれども、日常的には、新たに設置した体罰の相談窓口により対応していかなければならないと考えます。
現在、総合教育センターで体罰の相談も受けているということは承知しておりますけれども、教育委員会に新設した電話相談窓口は通常の執務時間のみの対応であるため、生徒が下校してから、夜間は対応できないということは問題であると考えますが、どのように認識されているのか、改めて伺います。
要望
今、海外駐在員事務所のあり方について、知事からご答弁をいただきました。
JETRO、そして民間金融機関等の連携というのは非常に重要になってくると思いますし、また廃止される欧州事務所のことに関しましても、県内の企業が進出するに当たって、また向こうで仕事をするに当たって、支障のないように、そういった対応をとっていただきたいというふうに思っております。
また、体罰の根絶に向けた取り組みについて、ご要望させていただきます。
教育委員会が策定した体罰防止ガイドラインを用いて、地域のスポーツ団体の指導者についても研修を行うとの答弁がありました。また、それに加えて、教員を目指す学生への対応として、県内の教員養成課程を持つ大学への配布や、教員の新卒採用研修での活用など、より効果的に取り組まれるよう要望いたします。
また、この体罰、そしていじめの問題、将来を担う子供たちの問題というのは多々ありますけれども、その子供たちが、将来、夢や希望が持てる、そういったことに全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
また、先ほど知事からオリンピック・パラリンピックについて熱い思いを聞かせていただきましたけれども、海外から来られる方々、そしてこの神奈川に来られる方々、たくさんの方がこの神奈川に来ていただけるように、神奈川の魅力というものを十分に出していただいて、そしてサッカーだけではなくて、ほかの競技もこの神奈川でやっていただけるように、知事、東京に対してもぜひお力を注いでいただきたいというふうに思います。ぜひとも、この2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、私たちも全力で頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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