自民党神奈川県議団の加藤元弥です。
会派を代表し、通告に従い、順次質問させていただきます。
知事、きょうは落ち着いてゆっくりと。教育長、テンポよく元気によろしくお願いいたします。明快なご答弁を。また、議員の皆様には、しばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願いいたします。
目次
教育と子ども・青少年を巡る諸課題について
初めに、教育をめぐる諸課題について、2点伺います。
県立学校の今後の老朽化対策について
新聞報道によると、会計検査院が公立小中学校の消防点検の状況を調査したところ、本県を含む20府県の3,000校余りで、消防設備の劣化や一部の自動火災報知機が動かないなどの問題が見つかったにもかかわらず、修繕や交換をしていない事例があったとのことであります。
また、建築基準法に基づく施設点検についても、45の市町村では点検が適切に実施されておらず、施設点検で見つかった問題箇所についても、192の市町村の約2,000校で修繕などを実施していなかったとのことであります。
本県の県立学校では、消防点検、建築設備点検とも法令に基づき適切に実施され、こうした点検により指摘されたふぐあいの箇所については、日常の維持修繕の中で、緊急度に応じて個別に修繕を実施していると伺っています。
しかし、例えば、マンションなどでは、10年から15年を周期として大規模な修繕を行うのが一般的であります。
一方で、県立学校では、一部を除き、こうした大規模修繕は実施されておらず、特に県立高校は、高校100校建設計画、いわゆる100校計画で建設された学校が多いことから、屋根、外壁、トイレ、給排水管など施設全体の老朽化も相当に進んでいるものと思われます。
このような状況を踏まえると、現状と同様の対応では、建築設備点検で指摘されるふぐあいの箇所が今後増加する一方なのではないかと危惧しています。
現在、県立学校の施設整備に関しては、「まなびや計画」により、大規模補強が必要な県立高校の校舎の耐震化や特別支援学校の整備に重点的に取り組んでいることは承知しています。
耐震化や特別支援学校の整備は重要な課題でありますが、建物の施設や設備を適切に管理し、児童・生徒が安心して授業等を受けられる教育環境をしっかりと整備していくことが、施設管理者である本県に求められていると思います。
施設の現状を踏まえた上で、中長期を見据えた老朽化対策を今後実施していく必要があると思いますが、県立学校における建築設備等の老朽化に対して、今後どのように対策を進めていこうとしているのか、教育長の見解を伺います。
選挙権年齢の引き下げに伴う教員研修について
公職選挙法等の一部を改正する法律により、選挙権年齢がこれまでの満20歳以上から満18歳以上に引き下げられました。実に70年ぶりとなるこの歴史的な制度改革によって、来年夏の参議院議員選挙が実施される際には、現在の高校3年生の生徒と、現在の高校2年生の一部の生徒が、未来の日本を切り開く一票を投じることになります。
また、今回の選挙権年齢引き下げの動きを背景として、次期学習指導要領に、高校の公民科において、政治参加意識を育み、規範意識や社会制度などを学ぶ必修科目、公共を新設することも検討されています。
県立高校においては、これまでも先進的にシチズンシップ教育の取り組みを推進し、その柱の一つとして、これまでに2回、全校での模擬投票を実施するなど、政治参加教育に意欲的に取り組んできたことは承知しています。
しかし、今回の、いわゆる18歳選挙権の実現によって、政治参加教育の重要性は一層高まっていると思います。
そこで、これまでの成果を踏まえ、各校がこれまで以上に積極的に政治参加教育の取り組みを進め、未来の日本を担う若者たちの政治参加意識を高め、選挙の際には必ず投票に行こうという気持ちを持たせていくことが重要であると考えます。
このような中、今後、満18歳になり有権者となる高校生が、選挙運動や政治活動に参加することが可能になりますが、知識が足りないままで、そうした活動を行った結果、法律に抵触してしまうということも考えられます。高校生にはしっかりと正しい知識を身につけさせ、間違いを起こさせないようにすることも必要です。
このようなことから、何よりも生徒を指導する教員が、政治参加教育の実践力を高めていかなければなりません。また、その一方、取り組みを進める上で、教員が授業の中で、ある事柄について一面的な見解を取り上げるようなことは、決してあってはならないことであり、生徒を指導する教員の政治的中立性を確保していくことが重要であると考えます。
選挙権年齢の引き下げを受け、指導する教員の政治的中立性の確保を図り、政治参加教育の充実につながる教員研修について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の見解を伺います。
子ども・青少年を巡る諸課題について
子ども・青少年を巡る諸課題について、2点伺います。
1点目は、子どもの貧困対策の推進についてであります。
県では、既に「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」を策定し、子供の貧困対策は総合的な取り組みが必要であるとして、本年6月に全庁的な推進体制を整備し、取り組みを進めていると伺っております。
しかし、この計画においては、県内の子供の貧困状態をつかみ切れていないとして、明確な数値目標を定めるかわりに指標を設定するにとどまっています。このため、我が会派は、第2回定例会の代表質問で取り上げ、本県の子供の貧困の現状と必要な支援策をどのように把握し、今後、子供の貧困対策をどのように進めていくのかとの質問をさせていただきました。
これに対して、知事は、この計画を着実に推進していくために、県内の貧困の状況にある子供の実情や求められる支援策を丁寧に把握し、取り組みに生かしていく必要があると考えているとともに、特に生活困窮のおそれが高いひとり親世帯の現状やニーズを把握するため、児童扶養手当の受給者を対象にしたアンケート調査を8月に実施すると答弁されました。
このアンケート調査の実施結果については、現在、取りまとめ中とのことですが、ひとり親家庭が置かれている生活の状況が徐々に見えてきているものと思います。
このような調査は余り例がなく、また、その調査結果には、児童扶養手当を受給しているひとり親家庭の切実な声や現状が詰まっており、今後の県の子供の貧困対策を考える上で、非常に貴重なデータとなるのではないかと考えます。
よって、この調査結果をしっかりと分析するとともに、市町村とも共有し、支援を必要とする子供たちに的確に施策を実施していくことが極めて重要であります。
ひとり親家庭へのアンケート調査の結果を踏まえ、今後、子供の貧困対策をどのように進めようと考えているのか、知事の見解を伺います。
青少年は今をともに生きるかけがえのない存在であるとともに、私たちの未来そのもの、私たちの社会の将来に大きくかかわる希望であります。青少年が健やかに成長し、将来に対して夢や希望を持ち、幸せに暮らせるよう支援し、環境を整備することは、県政の最重要課題の一つであります。
しかし、現在の青少年が置かれている状況は大変厳しいものとなっています。いじめ、児童虐待、子供や若者の自殺などの問題が深刻化し、青少年の心と命が危機的な状況にあると思います。
県では、平成17年3月にかながわ青少年育成指針を策定し、青少年の課題に対し、社会全体で青少年を育成し、自立を支援していくため、さまざまな施策を進めてきました。
その後、ひきこもりやニートなど、社会生活を円滑に営む上で困難を有する若者の社会参加が新たな課題となる中、国において、平成22年4月に子ども・若者育成支援推進法が施行され、県もこの法に基づき指針を改定し、社会状況の変化に応じて取り組みを進めてきたところであります。
しかし、子供・青少年を取り巻く状況は刻々と変わっており、地域社会のつながりが希薄になっていることや、外で遊ぶ子供たちの姿を目にする機会が減るという傾向は、ますます強くなっていると感じています。
最近では、子供たちへのスマートフォンの普及が急速に進み、大人が気づかない閉ざされた子供たちの世界が広がりつつあります。
こうした中で、本年2月に、川崎市で、中学校1年生の生徒が殺害された大変痛ましい事件がありました。青少年にとって安全・安心な地域社会づくりに向け、私たちがどのように受けとめ、そして、私たち大人と青少年とがどのようにともに取り組んでいくのか、新たな課題が突きつけられていると思います。
今年度、県では、かながわ青少年育成・支援指針の改定に向け、検討しているとのことですが、その中で、現行の指針による成果を踏まえ、青少年を取り巻く状況の変化を反映することで、青少年施策をしっかりと進めることが重要であります。
青少年が抱えている課題に対して、どのような視点から、かながわ青少年育成・支援指針の改定を進めていくのか、知事の見解を伺います。
再質問
それでは、2点再質問をさせていただきます。
1点目は、県立学校の今後の老朽化対策についてです。
先ほど、県立学校の今後の老朽化対策について、教育長から前向きなご答弁をいただきました。
生徒、保護者から、中でも学校のトイレについて、暗い、汚い、臭いなどといったご意見、施設改善の声が多く寄せられております。また、県立高校については、いまだに和式便器が多いようで、一般家庭のほとんどのトイレが洋式化している中で、現代の生活様式にも適合していないのではないかと思うところであります。
一日の多くの時間を学校で過ごす思春期の生徒に対して、快適な教育環境を確保していくために、こうした学校のトイレの改善が必要であると思いますが、今後の老朽化対策の中でどのように取り組んでいこうとしているのか、見解を伺います。
2点目は、子供の貧困対策についてです。
子供の貧困対策は、生活に直結する住民サービスの多くを担っている市町村の役割が非常に大きいと考えます。先ほど市町村と連携をしていくという答弁がありましたが、具体的にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
要望
それでは、何点か要望させていただきます。
初めに、県立学校の老朽化対策についてです。
県立学校については、耐震化とともにトイレを初めとして老朽化が進む各施設について、早急に新たな計画をつくり、総合的な対策を計画的に実施していただきたいと思います。
また、先日、横浜市内の小学校で防煙シャッターが落下し、児童がけがをする事故が発生しました。点検を行っていたとのことでありますが、シャッターとワイヤは開校から交換されていなかったとのことであります。県立学校においても、こういった事故の起こらないようにしっかりとした対応をお願いいたします。
そして、児童・生徒が生き生きと学ぶことができるよう、安全・安心で快適な教育環境の整備に向け、取り組みを計画的に進めていただくよう要望いたします。
次に、選挙権年齢の引き下げに伴う教員研修についてです。
今回の選挙権年齢の引き下げ、いわゆる18歳選挙権の実現は、将来の日本を一層活力のある誰もが活躍できる社会としていく上で、大変重要な契機であると改めて認識しているところです。
教育委員会におかれては、今後も引き続き教員の政治的中立性を十分に確保し、各校の政治参加教育の取り組みのさらなる充実に向けて教員研修を充実していただき、本県の未来を担う高校生が積極的に政治にかかわるよう道筋をつけていただくことを要望いたします。
次に、子供の貧困対策の推進についてです。
今回、神奈川県がアンケート調査を実施し、そこで得られたひとり親世帯の現状やニーズに関するさまざまなデータはとても貴重なデータであると考えますが、現在はまだ単なるデータでしかないので、今後はそれを有効に活用していく必要があると思います。そのために、これから今回のデータを分析し、必要な施策を検討していただくよう求めます。
また、データを分析した結果、今回の調査で不足のあった部分、さらに調査が必要な部分などが見えてくると思います。アンケート調査は県民の方の声を聞く一つの手段であり、現状やニーズを把握することは、施策の検討の第一歩なので、今後も引き続き必要な調査を実施し、設置した連絡会議で市町村と連携しながら、子供の貧困対策の推進に努めていただくよう要望いたします。
県政の重要課題について
県内中小企業の海外展開支援について
世界経済の状況は、アジアを初めとする新興国の成長が著しく、人々の生活水準は向上し続けていますが、一方で、我が国の人口は2008年をピークに減少に転じており、今後も引き続き減少が見込まれるため、国内での需要は減少傾向にあります。
また、この10月には環太平洋パートナーシップ協定-TPPが大筋合意し、世界のGDPの4割を占める巨大な市場において、鉱工業品の関税撤廃のみならず、投資、サービスの自由化などにより、製造業からサービス業に至る我が国の企業にとって、TPPは巨大な市場圏の誕生を意味しています。
このような状況において、本県の中小企業にも新興国市場等の旺盛な需要を取り込むため、国際分業を進めるなど、急激に変化する世界経済の動きへの対応が求められている一方で、海外経験の少ない中小企業の海外展開にはさまざまな課題やリスクがあり、これらを見きわめながら取り組むことが求められ、踏み切れない大きな要因の一つとして、海外展開を担うグローバル人材が不足していることが挙げられます。
県では、本年6月に開所したベトナム・ハノイの神奈川インダストリアルパークの設置を初め、これまでも中小企業の海外展開支援に関して、さまざまな取り組みを行っていますが、今後はこのグローバル人材の不足についての支援も強化していくことが必要であると考えます。
また、中小企業が必要とする支援は多様であり、急速に変化している世界経済の中で求められる支援も年々変化していく状況であります。
したがって、県としては、今後の海外展開支援策を検討していくためにも、県内中小企業の海外での事業の内容や進出先などの海外展開の動向とともに、課題や必要な支援に関して常に把握を行っていくことが必要であると考えます。
県内中小企業の海外展開を支援するために、課題の一つとなっているグローバル人材不足への対応や、支援ニーズの把握に関して、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
県では、これまでも経済団体や個々の企業との意見交換などを通じて、そうしたニーズの把握に努めてきました。今後はさらに神奈川産業振興センターと連携して、県内中小企業約3,000社を対象にアンケートによるニーズ調査を実施し、その結果をもとに海外展開を積極的に支援してまいります。
「かながわ水産業活性化指針」の改定について
本県は、閉鎖的な東京湾と外海に面した開放的な相模湾という二つの海に面し、多種多様な水産資源に恵まれ、定置網漁業、刺し網漁業などさまざまな漁業が営まれています。
しかし、漁業生産量は、昭和50年代以降減少傾向が続き、さらに価格の低迷など、漁業経営を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。
県では、こうした状況に対応するため、平成17年3月にかながわ水産業活性化指針を策定し、活力ある水産業を目指して、さまざまな施策に取り組んでいます。
直近では、今年3月に漁業調査指導船ほうじょうが竣工し、沿岸漁業への支援が強化されるものと期待しています。
さらに、三崎漁港においては、水産物の衛生管理対策を強化する取り組みが始まり、今後さらに県産水産物のブランド力が高まることが期待されます。
また、小田原漁港の整備は県西地域の長年の懸案であり、今後、建設が予定されている交流施設などの関連施設の充実により、県西地域発展の起爆剤となると期待しています。
しかし、漁業は、水産資源の減少や漁場環境の悪化など、漁業経営は不安定な面があります。そこで、漁業経営を安定するため、育てる漁業や資源管理型漁業などが取り組まれています。また、漁業者みずからが、自分でとった魚を加工し、販売するといった取り組みも行われるようになりました。
県は、さまざまな課題に直面しながら、このように水産業の振興に取り組んでいる漁業者の方々を、中長期的、計画的にしっかり支援していく必要があります。
そして、このような状況の中、水産業の目指す姿や、それに対する施策を定めたかながわ水産業活性化指針が今年度をもって目標年度を迎え、現在、その改定作業が行われています。
県民に安全で安心な県産の水産物を安定して供給することが本県水産業の役割と考えますが、さらに着実に進めていくため、改定するかながわ水産業活性化指針にどのような施策を重点的に盛り込もうとしているのか、知事の見解を伺います。
営農指導強化にかかわる農協への技術的支援について
本県農業は県民に新鮮で安全な農産物を提供するとともに、生産活動により維持されている農地は都市住民や学童の身近な農業体験や食育の場であり、また、都市の中の貴重な緑地空間として、環境保全や景観の維持、さらには緊急時の防災空間としての機能など、県民生活に大きく貢献をしています。
農産物の主たる生産を支えているのは、認定農業者など、専業で取り組んでいる農業者の力はもとより、生産に貢献する農家の裾野は広く、規模の小さい農家や高齢者も多くの方が生き生きと生産に励み、品質の高い野菜や果樹を直売所などで販売しています。
県では、農業技術センター、畜産技術センターの普及指導員が生産技術や経営の指導に当たっており、農家から期待されています。
しかし、指導の対象は、新規就農者や経営規模の大きい専業農家に重点を置いており、普及指導以外でも、国や県の農政施策は、認定農業者などの地域の中心的な担い手となる農業者を主な対象としています。このことは政策の優先度、効率性などから理解できますが、地域農業全体を支え、農地を維持していくためには、幅広い生産者に対する支援も必要と考えます。
一方で、広く地域の農業者を対象に営農指導を担っているのは農業協同組合であり、県内には13の総合農協それぞれが営農指導員を設置し、農家に対しての指導を行っています。営農指導は農協の取り組むべき最も基本的な業務であり、組合員からは、量的にも質的にもさらなる充実強化を求める声が大きくなっていると感じています。
先般、農業協同組合法が改正され、農協の経営目的として、農業所得の増大に最大限配慮することが明記されましたが、このための具体的な取り組みを農協が進めていくには、営農指導員の資質向上は欠かせず、県内の農協でも具体的な検討が進められていると伺っています。
職員の能力向上については、みずから取り組むことが必要ですが、効率的、効果的に進めるためには、県内の農業現場に密着した試験研究や普及指導を推進している県からの支援が重要と考えます。
営農指導強化にかかわる農協への技術的支援について、知事の見解を伺います。
(仮称)かながわくらし・しごとセンターについて
本県では、少子化の進展に伴い、総人口は2018年をピークにその後減少することが見込まれていますが、既に人口減少が始まっている市町村があります。具体的には、県内市町村の現在の人口を、平成25年の人口と比較すると、県西部や三浦半島を中心に21市町村で減少している状況となっています。
また、昨年の5月には、日本創成会議が発表した消滅可能性都市として、本県では9市町村が含まれていました。
このように少子・高齢化が進行し、地域経済を支える労働力人口が減少していく状況において、本県の経済のエンジンを回し、活力にあふれる神奈川を実現するためには、人口減少対策を進めていかなければなりません。
そのためには、本県の人口減少地域へ東京からの移住を促進させていく取り組みが必要であると考えます。
本県では、国の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用して、(仮称)かながわくらし・しごとセンターを開設し、本県への移住を促進させる取り組みを進めるとしていますが、まだ具体的な内容が示されていません。
一方、横須賀市を初め、既に人口減少が始まっている市町村においては、移住者を積極的に受け入れるため、子育てや住まいの支援といった取り組みを進めている例もあり、本県への移住を促進させるためには、市町村と連携し、こうした情報をしっかりと共有していく必要があります。
(仮称)かながわくらし・しごとセンターの開設に向けた進捗状況と、今後の事業展開について、知事の見解を伺います。
子宮頸がん予防ワクチン接種後の健康被害支援制度について
子宮頸がん予防ワクチンは、平成25年4月に定期接種化がされましたが、同年6月には国が積極的勧奨の差し控えを通知しました。
ワクチン接種後の健康被害については、本来、国により救済されることとなっていますが、因果関係についての審査が中断し、接種後の症状に苦しむ方の救済は長く進まない状況にありました。
そうした中、県が、緊急的支援として、都道府県では初となる独自の支援制度を創設し、本年8月から支援を開始したことは、我が会派の主張にも沿うものであり、大変評価するものであります。
その後、9月17日に国の副反応検討部会が開催され、出席した委員から、救済に関する従来からの基本的考えを踏襲して、速やかに進めるべきとの意見が出されたことから、1年以上行われていなかった国の審査が再開され、翌18日には、定期接種化後にワクチン接種を受け、症状があらわれた方6名が認定され、24日には、任意接種の時期に接種を受け、症状があらわれた方11名が認定されたと報道されました。
あわせて、患者・保護者からの多様な相談に対応するため、厚生労働省と文部科学省が連携し、相談・支援体制を整備することとしたとのことであります。
国の救済に向けた審査が再開されたことは大変喜ばしいことでありますが、一方で、県は、こうした国の動きを受け、横浜市と歩調を合わせて支援制度を見直し、年内で申請書等の受け付けを打ち切るとしています。
国の救済制度が整ったとしても、現に接種後の症状に苦しむ方がいることは事実であり、県の支援制度見直しに不安を抱く方もいると思われます。
接種後の症状に苦しむ方に対し、今後どのように対応していくのか、知事の見解を伺います。
国民健康保険における財政安定化基金の設置について
医療保険制度改革の一環として、本年5月に国民健康保険法が改正され、平成30年4月から、都道府県も国民健康保険の保険者に加わり、市町村とともに制度運営を行っていくことになりました。
国民健康保険の加入者は、非正規の雇用労働者や定年退職後の高齢者が多いことから、企業の従業員が加入する健康保険組合などの被用者保険と比べると、所得は低く、医療費の支出が多いとのことであります。
また、保険料を給料から天引きできる被用者保険に比べ、国民健康保険は加入者に直接納めてもらわなければならないことから、市町村が努力をしても、収納率を大きく上げることが難しいとされています。
このようなことから、国民健康保険の財政が厳しい状況にあることは理解できますが、今後、社会の高齢化が進み、加入者の年齢構成が上がっていくと、今よりもさらに財政状況が悪化していくことが心配されるところであります。
しかし、県民にとって、万一病気にかかったり、けがをしても、少ない本人負担で安心して治療が受けられる仕組みは大変重要であり、今後も国民健康保険制度が安定的に運営されていくことが強く望まれます。
こうした状況の中で行われる今回の制度改正においては、県と市町村の役割が見直されるとともに、さまざまな取り組みが進められるとのことですが、そのうちの一つとして、県では新たに財政安定化基金を設置するとのことであります。
新たな基金の設置目的及び内容について伺います。また、この基金における県の役割をどのように考えているのか、知事の見解を伺います。
再質問
それでは、2点再質問をさせていただきます。
1点目は、県内中小企業の海外展開支援についてです。
企業が必要とする支援ニーズの把握については、神奈川産業振興センターと連携してアンケート調査を実施するとのことでありますが、今後、海外展開を検討する県内中小企業にとっては、既に海外に進出し、現地で操業している企業が直面している課題等を把握することも重要であります。
また、県としては、そうした課題を把握した上で、県内中小企業の海外展開を支援する必要があると思います。
特に、海外進出のニーズが高いタイ、インドネシア、ベトナムにおいて、既に進出している県内企業の課題等を把握する調査を実施する必要があると考えますが、見解を伺います。
2点目は、かながわ水産業活性化指針の改定についてです。
水産業関係の皆さんからお話を伺うと、資源の減少や漁場環境の変化などの課題についてご指摘をいただきます。そうした課題の解決に当たっては、これまでの手法に加え、新たに水産業にも先端技術を積極的に活用していくことが重要だと考えます。
そこで、知事が選挙の際、政策として掲げていた漁業のハイテク化の支援について、どのように取り組んでいくのか、知事のご所見を伺います。
要望
それでは、何点か要望させていただきます。
初めに、県内中小企業の海外展開支援についてです。
先ほどタイ、インドネシア、ベトナムに進出している県内企業を対象に、現地での課題を把握するための調査を実施するとのご答弁をいただきました。この3カ国は経済成長が進んでいますが、インフラや法制度などの整備が追いつかず、さまざまな課題も生じていると伺っています。
できる限り早期に調査を実施し、海外展開の検討に役立つ有意義な情報を県内企業に周知していただくことを要望いたします。
次に、かながわ水産業活性化指針の改定についてです。
水産業においても、先端技術に積極的に取り組まれるという心強い答弁でありました。さらに、県内漁業者への支援を目的に、研究、調査を行う機関として県水産技術センターがあります。漁業者の生産向上を図るために、ぜひセンターが先端技術に対応できるよう、機能強化を図ることを要望します。
そして、厳しい経営環境の中、その改善のために努力している漁業者の活動を支援できるよう、この水産業活性化指針の改定に取り組んでいただくことを要望いたします。
次に、営農指導強化にかかわる農協への技術的支援についてです。
県と農協による連携した指導体制があることで、農業者にとっては、身近な指導と県の高度な技術指導が受けられ、安心して農業生産ができると思います。営農指導員のスキルアップの過程で、大学との連携が有効な場面も出てくるかと思います。県内に複数の大学の農学部がある有利性を生かし、連携に向けた支援を求めます。
そして、県としても、普及指導員など農業技術者の継続的な確保、育成に努めていただくよう要望いたします。
次に、子宮頸がん予防ワクチン接種後の健康被害支援制度についてです。
県の支援制度は、国の救済が進まない中、緊急的支援として開始され、それにより、国の審査が再開されたわけですが、接種後の症状に苦しんでいる方やそのご家族は、県の突然の打ち切りに落胆しています。被害者が切れ目なく国の支援が受けられるように、県としても引き続き国と連携をとりながら支援することを求めます。
また、県が相談窓口を設置する中で、県内の健康被害の実態を改めて把握する体制を整えていくことも、あわせて要望いたします。
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