平成19年6月定例会 一般質問

はじめに

松田議長のお許しをいただきましたので、私は自民党県議団の一員として、通告に従い、提言を交えて順次質問いたします。

知事並びに教育長におかれましては、明快かつ率直なご答弁をよろしくお願い申し上げます。

私は、さきの統一地方選挙におきまして初当選させていただき、このたび自民党県議団の皆様のご配慮により、初の質問の機会を与えていただきました。本当に心から感謝申し上げます。

質問に先立ちまして、一言申し述べさせていただきます。

私は、菅総務大臣の第一秘書として行政改革、地方自治、地域振興、郵政民営化、地方分権改革等を扱う大臣のもとで学び、地元の皆様の声を行政に届ける役をさせていただいておりました。また、選挙戦の中では前任の斎藤達也先生の志を受け継ぎ、身近な県政を訴えてまいりました。

横浜市西区という所は、新しいまちと古いまちとが混在し、落ち着いた面と活気あふれる面と、両面を兼ね備えたまちであります。そういった中で、市民にとって神奈川県政というものが余り身近に感じられていないのも残念であります。私は、子供たちが安心して遊べ、お年寄りが安心して出歩ける、そんな温かいまちづくりを目指して政治家を志しました。そして、そのために神奈川県政がもっと市民生活に密着し、県民の皆様からの声を反映するべく、より一層努力し、お役に立てることがあるのではないかとの思いで本日の質問を行いたいと思います。

先輩並びに同僚議員の皆様、議会経験のない私、初めてのことゆえ大変緊張しておりますが、精いっぱい務めさせていただきます。しばらくの間ご清聴のほど、よろしくお願いします。

安全で安心して生活できるまちづくりについて

質問の第1は、安全で安心して生活できるまちづくりについてであります。
「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」の施行から今年度で3年目となりました。県はこの条例に基づき、県民の防犯意識の向上や自主防犯活動の支援に取り組むなど、県民総ぐるみの運動を展開してきたことは承知しております。また、平成16年度に設置した「くらし安全指導員」は、直接、県内の学校や自治会などで防犯等知識の普及啓発を行い、県民の防犯意識の向上に大いに貢献しており、県の支援制度を受けて活動に取り組む自主防犯活動団体数は、平成17年度に約1,000団体であったものが、平成18年度には1,300団体を超えたと聞いております。また、この制度は条例を実効性あるものとするため人員、予算の配分を強く我が会派からも求めた結果と聞いています。実際に、町中でも自転車やトラック、または住宅等に「防犯」や「こども110番」などと書かれたステッカーが張ってあるのをよく目にするようになりました。

また、近年、子供が被害者となる痛ましい事件が相次ぐなどしたことから、防犯に関する県民の意識も高まり、学校、PTA、自治会等を中心に子供の見守り活動が活発になってまいりました。
こうした県の取り組みや県民による自主防犯活動の高まり、さらに警察官の増員や交番相談員等の配置など警察基盤の強化が一体となって、刑法犯認知件数を過去最悪であった平成14年と平成18年の比較で約6万7,000件余り、約35%減少させることにつながったものと評価しております。

しかし、まだまだ全県民に防犯意識や防犯への取り組みが浸透しているとは言いがたいものがあるのではないでしょうか。

新聞紙上ではときどき、ひとり暮らしの老人が死後何日もたってから発見されたとか、子供が虐待されていることに近所の人が全く気がつかなかったなどのニュースを目にすることがあります。これなどは、例えば新聞受けに新聞がたまっていても周囲は無関心、あざだらけでやせ細った子供がいても周囲は無関心、こんな都会の風潮は今でも根強く残っており、こうしたことを改善していかない限り、本当の意味での安全・安心なまちづくりは実現できないと思います。

こうしたニュースを目にしますと、私は、なぜ新聞配達の人が異状を交番に知らせなかったんだろう、郵便配達の人や近所の人は気づかなかったのだろうかと不思議に思います。

また、かつては交番のお巡りさんが管轄区域を自転車で回って家族の状況を聞いて回り、世間話などをしながらお茶を飲んでいる、そんな地域に溶け込んでいる風景を目にしましたが、最近はそういう光景もなかなか目にしなくなりました。私が考える安全・安心のまちづくりとは、地域に溶け込んだ交番があり、民生委員さんが地域のよき相談相手になっているばかりでなく、新聞配達や郵便配達の人たちが地域の情報をお互いに交換し合い、商店街の皆さんが街頭パトロールをしたり夜回りをしたりと、地域のさまざまな組織が有機的につながり合って子供やひとり暮らしの老人を見守っている、そんなまちであります。知事の言われる「神奈川力」ならぬ「地域力」のあるまちであります。

これは結局、地域のコミュニティーづくりをすることにほかなりません。私は、地域のコミュニティーづくりは安全で安心して生活ができるまちづくりに限らず、高齢者問題などさまざまな問題を解決する上で最も有効な視点であると考えています。都市化が進むとともに地域のコミュニティーが弱体化してきたことは随分前から叫ばれてきましたが、コミュニティーの強化となると、なかなか思ったように進まないのが今までの現状だったのではないでしょうか。

先ほどから述べてまいりました自主防犯活動の高まりは、こうした流れの中で地域コミュニティーの再生に非常に効果が高く、実際、自治会等の活動においても、その活性化に大きく寄与しており、こうした傾向をさらに推し進めていくべきであると私は考えております。

そこで、知事にお尋ねいたします。

単身高齢者の方や地域の子供たちの安全な生活を守るためには、警察に頼るだけではなく、地域の住民の見守りや、郵政公社や宅配業者等の民間事業者が地域と連携して、異変の際、助け合うような地域のコミュニティーづくりが大変重要であると考えます。地域ぐるみで一体感を持って安全・安心に取り組む、地域の自主防犯活動の支援や仕組みづくりをさらに推進すべきと考えますが、知事の考えをお伺いします。

【知事答弁】地域における自主防犯活動の支援や仕組みづくりの推進についてお尋ねをいただきました。 先ほど議員から地域のコミュニティーについてのお話がございましたように、私も、「ウィークリー知事現場訪問」や「移動知事室」で多くの防犯活動の現場を訪問いたしましたが、やはり防犯活動に活発に取り組まれている地域では、しっかりとした地域コミュニティーが築かれ、安全・安心まちづくりに大きな貢献をしていることを実感しております。 これまで県では地域の活動を支援するために、自主防犯活動団体の立ち上げに要する費用の一部補助や、活動中に不幸にして事故に遭われた方への給付金の支給など、自主防犯活動団体へのさまざまな支援を行ってまいりました。また、県や県警察は、事業者団体等と地域の安全協定を締結し、事業者の皆さんにも防犯活動の一翼を担っていただき、お年寄りや子供の安全確保や防犯の普及啓発に努めているところであります。 こうしたさまざまな取り組みにより、刑法犯認知件数が大幅に減少するなど大きな成果につながったものと認識しておりますが、空き巣や引ったくりなど県民に不安を与える犯罪は依然として多発しており、実感としての治安回復はまだまだ十分とは言えません。 そこで、本年度からの新たな取り組みとして、県民の皆さんの防犯に関する知識をさらに高めていただくため、防犯に係る情報の収集・発信、相談の拠点として、6月1日に「安全・安心まちづくりセンター」をオープンし、防犯に係る各種の体験・展示コーナーや防犯相談窓口などを設けたところでございます。また、新たに今まで防犯に関心の薄かった方々にも関心を持っていただくため、防犯を呼びかけるラジオのスポット放送を4月から開始し、今後、県内7カ所で電光掲示板の活用も図ってまいります。さらに、自主防犯活動団体相互の情報交換や連携を図っていただくためのネットワークづくりとして、本年秋には、地域における活動団体が一堂に会する交流会等を開催することとしております。 こうした取り組みを進め、県の支援を受けて活動する自主防犯活動団体数を平成22年度には2,000団体、活動参加人数20万人に拡大するという数値目標を設け、市町村との連携を図りながら、より多くの県民の皆さんに幅広い防犯意識を持っていただき、自主防犯活動の裾野を拡大してまいります。

地域と学校教育の連携について

質問の第2は、地域と学校教育の連携についてであります。
近年、社会の複雑化が進行し、社会的な自立のおくれやさまざまな体験の不足、あるいは人とのコミュニケーションがうまくとれないといった状況から、社会参加がうまくできない若者がふえているという状況があると考えております。

このような状況に対し、現在、検討が進められている国の教育再生会議においても、その第二次報告において、「様々な体験活動を通じ、子供たちの社会性、感性を養い、視野を広げる」ことが提言されており、自然体験や職場体験を推進することが重要であると述べられているところであります。
また、ニートやフリーターの問題が指摘される中、こうした問題の背景としても、自然体験、社会体験など、いわゆる「生活体験」の不足や人とのコミュニケーションの不足が挙げられており、そのような課題への対応も含め、子供たちの体験活動の充実を図ることが求められております。

私は常々、子供たちが将来、社会の一員として成長していくためには、教室の中での勉強だけでなく、実社会に触れる体験活動が重要であると考えております。人はさまざまな体験を経て成長することは言うまでもなく、見る、触れる、つくる、育てるなど、自分の頭と体を使って実際に体験することが非常に大切であると思います。言いかえれば、人はこうした体験によって学び、自分で考え、判断し、行動していく力を身につけていくものであります。

私の地元の小中学校でも、子供たちが地元の商店街や企業で職場体験を行っております。このような体験は、子供たちが働いている人たちの姿から多くのことを実感として学び取り、働くことの喜びや大切さを知り、勉強する意欲にもつながるなどの学習効果が期待できるものであります。このような体験の機会は、子供たちにとっての意義だけではなく、地域の方々が直接子供たちの笑顔と接する機会にもなり、地域におけるコミュニケーションの向上や商店街の活性化にもつながるものと考えております。

県立高校においても、現在、インターンシップ制度を積極的に推進していると伺っております。インターンシップは自分の将来の夢を発見し、目標を持って進路選択を行うためにも非常に効果的な取り組みだと思いますし、働くことへの意欲や態度、社会に生きる一員として望ましい勤労観や職業観を身につけることができる機会として、大変重要であると考えております。また、企業側にとっても、生徒たちを受け入れることで企業をアピールするきっかけにもなることから、インターンシップ体験は生徒にも企業にも有意義なものであり、今後一層推進する必要があると考えております。
一方、企業等での職場体験やインターンシップの受け入れは、それぞれの企業の事情もあることから、希望する生徒のすべてを受け入れることは大変な努力を要するものであり、各学校には受け入れ先の企業を探すのに大変苦労しているとも聞いております。

また、このような職場体験やインターンシップは、体験する生徒の目的意識が不十分であれば、せっかくの体験が生かされず、ただ参加した、体験したということになり、せっかくの貴重な体験がこれからの人生に生かされないのではないかという懸念も感じているところであります。

子供たちが実社会に触れる体験活動は非常に意義のあるものでありますので、より多くの生徒たちにそのような体験の機会を提供するためには、地域や企業などの理解を十分に得るとともに、学校と地域や企業が綿密な連携をとりながら取り組みを進めることが必要であります。また、体験する子供たちにとっても、普段から体験の意義や働くことの目的をしっかりと学ばせる中で、その経験が本当に生かされるようにすることが重要であると思います。

そこで、教育長にお尋ねします。

小学校、中学校、高等学校それぞれで職場体験やインターンシップを一層推進する必要があると考えますが、今後どのように取り組みを進めていくのかお聞かせください。

【教育長答弁】学校における体験活動についてお尋ねがありました。 子供たち一人一人に自己のあり方、生き方を考えさせていく上で、小中学校のそれぞれの発達段階に応じてさまざまな体験活動を計画的、体系的に推進することは、極めて重要なことであると考えております。 小中学校におきましては、子供たちが住んでいるまちや生活している地域を体験の場として、小学校では職場訪問を868校中72校で、中学校では職場体験活動を417校中349校で実施しております。また、県立高校におきましても、就業体験としてのインターンシップを一層推進するため、新たな受け入れ先の開拓や事業所との調整を行う「キャリアアドバイザー」23名を県内10地域に配置し、昨年度は152校中133校でインターンシップを実施いたしました。 こうした取り組みを進める中で、児童・生徒の体験活動に対する目的意識の醸成や、場の確保といった課題もございます。そこで、教育委員会といたしましては、体験活動の意義を十分理解させるため、事前指導の充実を図るとともに、小中学校においては地域の商店街などを中心に、高校では企業や保育園、福祉施設など児童・生徒の多様なニーズに合った受け入れ先の開拓を引き続き進めてまいりたいと考えております。 具体的には、小中学校につきましては、教育委員会で作成いたしました「わたくしたちの生活と進路」などの資料を活用した日ごろの指導の充実を図るとともに、経済団体や関係行政機関などから構成される会議を本年度立ち上げ、職場体験を円滑に進めるためのシステムを構築し、体験の機会を拡大してまいります。 また、高校におきましても生徒の職業理解を深め、目的意識を一層高めるため、来年度からすべての県立高校でキャリア教育の実践プログラムを作成し、体系的な取り組みを進めることとしており、その中でインターンシップにつきましても、希望する生徒に対して、すべての高校で実施することを目指してまいりたいと考えております。 こうした取り組みを通して、小・中・高等学校の体験活動を一層充実させるとともに、職場体験やインターンシップへの参加者の拡大に努めてまいります。

 

次に、これらの職場体験やインターンシップとともに、子供たちの社会性をはぐくむためには地域に貢献する活動やボランティア活動を推進することも大変重要であると考えております。

地域に貢献する活動やボランティア活動は、自分が社会に役立ちたいという気持ちがあれば、どんな小さな行動でも地域や社会、あるいはさまざまな人たちのために十分に貢献できるという喜びを得られるものであります。こうした体験を通じて、生涯にわたって社会に役立ちたいという気持ちを持って人や地域、社会に接することができるよう、豊かな人間性や社会性を身につけることは大変意義あるものであると考えております。

とりわけ昨今の若者による痛ましい凶悪な犯罪の報道を聞くに及び、ますます社会に奉仕する心、人の役に立ちたいという心を育てることは学校教育の急務であると思います。

現在、県立高校では、すべての県立高校の生徒が一斉に活動に取り組む日として「地域貢献デー」を設定し、通学路や近隣の公園の清掃を初め歴史的建造物の保存活動、福祉施設の訪問といった貢献活動を展開しているとのことです。また、生徒がみずからの意思で取り組むボランティア活動を推進するため、昨年、横浜駅西口に「高校生ボランティアセンター」を設置し、ボランティア活動の場づくりを進めていると聞いておりますが、今後、こうした取り組みを一層充実させる必要があると考えております。

そこで、教育長にお尋ねします。

県立高校における地域に貢献する活動やボランティア活動について、今後、どのように充実させていくのかお聞かせください。

【教育長答弁】県立高校における地域貢献活動とボランティア活動についてお尋ねがございました。 議員お話しのとおり、豊かな人間性や社会性をはぐくむため、地域に貢献する活動を経験することは高校生にとって大変重要なことであると考えております。このため、昨年度からすべての県立高校で地域貢献活動を学校の教育活動に位置づけ、各学校の特色や地域の特性を生かした取り組みを行っております。 また、教育委員会では、生徒のボランティア活動を支援するための県域拠点となる「高校生ボランティアセンター」を、横浜駅西口の県民センター内に昨年6月に設置をいたしました。このセンターは通称「friends」という名称で言われておりまして、高校生が自主的にボランティア活動を企画、運営することを特色としております。これまでに高齢者施設でのボランティアに関する講習会や公園の清掃活動など、高校生スタッフがお互いに相談しながら高校生らしい活動をしているところでございます。 さらに、ボランティア活動への意欲を高めるため、平成16年度から活動実績を記録するボランティアパスポートをすべての県立高校生に配付してまいりましたが、このパスポートを一層有効に活用できるよう、市や町のご協力を得て、県内18カ所の市民活動センター等を「地域ボランティアエアポート」として位置づけ、高校生に対してボランティア活動の紹介や相談を行うなど、地域における支援体制を整備したところでございます。 今後は今年度、新たに指定したボランティア活動推進拠点校を中心に、地域の学校間での交流を図るとともに、「地域ボランティアエアポート」などとも連携し、地域のネットワークづくりを進めてまいります。 また、高校生がボランティア活動に取り組んだ成果を単位認定することは、ボランティアに対する意欲を高めることにつながりますので、すべての県立高校においてその仕組みを整えてまいりたいと考えております。 教育委員会といたしましては、こうした取り組みを通して、社会の一員として豊かな人間性を身につけた人材の育成を目指してまいります。

県主導第三セクターにおけるフリーター対策への取り組みについて

質問の第3は、県主導第三セクターにおけるフリーター対策への取り組みについてであります。
いわゆるフリーター─フリーアルバイターまたはフリーランス・アルバイターの略だそうですが、この言葉も最近ではすっかり定着した感がございます。具体的には「学生と主婦を除く15歳から34歳までの若者のうち、パート、アルバイトに従事している人、または働く意志はあるものの無職の人」と定義されております。

総務省の労働力調査等によりますと、このフリーターと呼ばれる若者たちは昭和57年に約50万人だったところ、平成4年には100万人を超え、平成15年のピーク時には217万人に達しております。その後、やや減少傾向が続き、平成18年では187万人となっております。川崎市の人口が136万人、横須賀市が42万人ですので、減ったとはいえ全国ではこの2市の人口を合わせたくらいのフリーターがいることとなります。ある意味、驚くとともに、「フリーター」という言葉が定着するのも当然だなと思うところでございます。

こうした若者たちは「働く時間が自由になる」、「会社に縛られたくない」、こうした理由でフリーターを選んでいるのだろう、とかく「今どきの若者は」と思われがちですが、実はそうではありません。厚生労働省の労働経済白書を見ますと、フリーターのうち30歳以上の男性では正社員化を希望する者が7割を超え、二十未満の男性でも、その割合は6割を超えております。正社員としての就職を希望していても就職先がない、仕方なくアルバイトやパートで頑張っている、こうした若者たちは、まさに我が国の雇用環境の悪化の波をこうむる犠牲となっているのであります。
私は、今後、就労人口数のより一層の減少が予想される中、正社員としての就労を希望するフリーターの若者たちに対して、できる限り就職先を提供していく、こうした取り組みを早急に行う必要があると考えております。

現在、国においては「フリーター25万人常用雇用化プラン」を掲げ、フリーターの正社員雇用の促進を図っており、また、本県でも横浜駅西口に「かながわ若者就職支援センター」を設置し、キャリアカウンセリングや職業適正診断を実施するなど、若者の就職支援に努めていると聞いております。これらの取り組みが十分な成果を上げることを心から期待するところでございます。
しかしながら、国や県がこうした取り組みを進める一方で、私が直接見聞し、また先輩議員から伺ったところによりますと、県とかかわりの深い県主導第三セクターにおいて、こうした取り組みに逆行するようなことが行われていると聞いております。

一例を挙げますと、平成18年度から多くの公の施設に指定管理者制度が導入され、公募により指定管理者を選考することとなったところですが、一部の県主導第三セクターでは、ほかの民間事業者との競争に打ち勝ち指定管理者としての指定を受けるため、仕事上、本来であれば不可欠な職種の正規職員を減らして非常勤職員や契約派遣職員に切りかえ、人件費の削減を図っているということでございます。

確かに、非常勤職員は、給与の時間当たりの単価だけではなく諸手当等も含め、人件費を抑制するという点では効果は大きいと思います。

しかしながら、正規職員は技術やノウハウを継承し、安定した業務遂行やサービスの提供など、企業、団体の存続のためには必要不可欠な存在です。今後の日本の活力を維持し、産業、経済を支えていくためにも、フリーターの正社員雇用の促進については重要な政治課題と考えております。

そこで、知事にお尋ねいたします。

第三セクターを取り巻く経営環境は厳しく、また、その経営状況に対する県民の方々からの関心も非常に高まっております。第三セクターの経営改善に向けた取り組みの必要性は十分に承知しているところでありますが、国、県が協力してフリーターの就職支援対策に取り組んでいる現在、県主導第三セクターとしては、できる限りほかの民間企業に率先してフリーターの正規職員雇用を進めるべきと思われますが、県としてはどう認識しているのかをお聞かせください。

【知事答弁】県主導第三セクターにおけるフリーター対策についてのお尋ねがございました。 県主導第三セクターは、公的サービスの担い手として重要な役割を果たしておりますので、それぞれ独立した法人として、まず第1に、健全な経営基盤を確立し安定的な事業運営を継続していくことが求められております。とりわけ指定管理者である法人は、民間企業等との競争を乗り越えていくために一層の経営合理化に努めておりますので、人員体制の柔軟性を高めるという観点から、正規職員が従事していた業務を見直し、一部の業務を非正規職員で対応することとしたケースもあったのではないかと思います。 このような事情もあるものの、議員ご指摘のとおり、県とのかかわりが深い県主導第三セクターの基本的な姿勢としては、フリーターの就職支援対策を初め国や県の取り組みに率先して協力いただくことが望ましいとも考えております。各法人の職員雇用については、最終的には、それぞれの業務実態等を踏まえ、法人みずからが判断すべきことではありますが、県としては、県主導第三セクターが安定的な運営を維持していく中で、できる限りフリーターの正規雇用についても取り組んでいただきたいと考えております。 具体的には、今年度のフリーターの就職支援対策として、県では中小企業などを対象としたセミナーの開催等を予定しておりますので、県主導第三セクターにもこうした取り組みへの参加を呼びかけ、協力をお願いしてまいります。

「ふるさと納税制度」について

質問の第4は、「ふるさと納税制度」についてであります。
真の地方分権改革を確立するため、全国都道府県議会議長会を初めとする地方六団体がかねてから熱願しておりました地方分権改革推進法が、ようやく昨年12月に制定され、本年4月に施行となり、第2期の地方分権改革もいよいよ動き出したところであります。

このような中にありまして、最近、都市と地方との間のさまざまな格差問題が取りざたされております。

とりわけ地方自治体運営の根幹をなします地方税について見ますと、人口1人当たりの税収規模は、平成17年度決算ベースで最も多い東京都と最も少ない沖縄県の間では約3.2倍の格差があるとのことです。これは人、もの、金、情報が東京へ集まる、いわゆる「東京一極集中」の弊害でもあると考えているところです。

こうした中、去る5月初旬に、私が尊敬する菅総務大臣が外遊先のパリにおいて、個人住民税の一定割合を個人の生まれ故郷の自治体などに納める「ふるさと納税制度」なる新たな構想を提唱されました。

この「ふるさと納税制度」は、居住自治体に納める個人住民税のうち、一定割合を生まれ故郷の自治体に納付できる制度であり、住民税の最大10%を出身地に納める案のほか、納税者が自治体に寄附すれば所得税から寄附金と同額を差し引く税額控除の案も上がっております。都会で生活している方の「自分が生まれ育ったふるさとに貢献したい」、また「自分とのかかわりの深い地域を応援したい」という郷土への思いを酌み取ることができ、ひいては郷土愛をはぐくむ大変夢のある、すばらしい制度であると私は考えております。

あるマスコミの地方出身者に対する街頭調査によりますと、この「ふるさと納税制度」について「賛成」と回答された方が7割を超え、この制度を支持する人が多いことを報道しております。
また、別の見方といたしまして、東京一極集中で過疎などによる税収減に悩む地方自治体の税収格差を是正する効果を期待する方もいるようです。

仮にこの「ふるさと納税制度」が導入されますと、これまで「税は取られるもの」と考えてきた人も「税はみずから納めるもの」と意識も変わり、人々の行政に対する見方も変わるとともに、納税意識の高揚にもつながるのではないかと考えるところです。

しかしながら、その一方で、行政サービスを受ける住民が負担をする受益者負担の原則の観点からの問題も指摘されていることも承知しているところでございます。本来であれば、都市と地方の税収格差を平らにするのは地方交付税の財政調整機能であり、国と地方の分権論議を「都市」対「地方」の問題にすり変えようとしているとの指摘もうなずけるものであります。

去る6月12日、東京、神奈川、大阪、愛知の四都府県の知事が都庁で会合し、「ふるさと納税」など大都市部をねらい撃ちにした地方税財源の配分案に対し、反対する緊急アピールを採択したとの報道がありました。

この制度が実現化すれば、本県財政にとってもデメリットとなるという指摘もございます。しかし、そうしたことを踏まえても、一概に本県として全く受け入れられない制度であると決めつけるのはいかがなものでしょうか。神奈川県内の市町村長もすべて反対だとは思いません。
折しも知事は、今月27日の総務省で開かれる「ふるさと納税研究会」に宮崎県の東国原知事と第2回会合に呼ばれて、意見を申し述べると伺っております。
「ふるさと納税制度」は拙速に結論を出す問題ではなく、本県にとってのメリット・デメリットを慎重に検討すべき問題であると私は思うのです。

そこで、知事にお尋ねいたします。

「ふるさと納税制度」は、この6月に総務省が立ち上げた研究会の中で十分議論していただく必要があると思いますが、多くの人が賛同する、この夢のある壮大な構想、「ふるさと納税制度」に対する知事の考え方をお伺いします。

【知事答弁】「ふるさと納税制度」についてのお尋ねがございました。 「ふるさと納税制度」の発想の原点は、議員のお話にありましたように、自分の生まれ育ったふるさとに貢献したいという気持ちであると思いますし、その気持ちは私も十分尊重されるべきであると感じております。 しかしながら、現在、取りざたされているように、この構想を都市と地方との税源偏在の解消の手法として考えるのは、地方税の原則等から多くの課題があると考えております。 「ふるさと納税制度」は、住民税の一部をふるさとに納めようとするものでありますが、住民税はそもそも住所地の地方団体による現在の行政サービスに対応して負担することが基本でありますし、また、選挙権がないふるさとの地方団体から課税されることは、「代表権なきところに課税なし」という民主主義の大原則からしても問題があると考えております。さらに、地方税は地方団体が定める税条例で賦課、徴収する仕組みですので、税条例が及ばない地域外の住民に対して課税することは困難であるという課題もあります。 このように、「ふるさと納税制度」には税制度の根幹にかかわる本質的な問題が多々ございますし、もとより税源偏在の問題は、税源移譲や地方交付税の充実で解決すべきものであると考えております。したがいまして、この構想につきましては、総務省内に設置されました「ふるさと納税研究会」において、地方税の原則等を踏まえ、税制度面や実務面の諸課題、さらには寄附金の控除制度の見直しなども含めて慎重に検討していただきたいと考えております。

おわりに

知事及び教育長におかれましては、大変ご丁寧なご答弁をいただきまして、まことにありがとうございました。

私は、この4項目で地域との連携、また、子供たちを地域の皆さんが手をとり合い、また高齢者の方々を助けるという意味で、これからも今、ご答弁されたことを推進していただきたいと思いますし、また、この神奈川県に住んでいる方々が住みやすい、住んでよかったと思われる神奈川県であるように私も一生懸命努力していきたいと思いますし、また、県民全員の皆さんが「自分のふるさとは神奈川だ」と思えるような県づくりに努力してまいりたいと思います。

ぜひ知事におかれましても、みんなで守るこの仕組みをぜひ推進していってもらいたいと思います。

以上で私の質問を終わらせていただきます。

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