平成25年第3回定例会 代表質問

はじめに

自民党県議団を代表し、質問します。

知事、教育長並びに警察本部長におかれましては明快なご答弁を、また、議員の皆様にはしばらくの間、ご清聴のほどよろしくお願い申し上げます。

質問に先立ち、一言申し上げます。

この週末、日本列島を襲った台風18号は愛知県付近に上陸後、北上を続け、各地に大きな爪跡を残しました。被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。また、今後、迅速な復旧作業が行われるとともに、一日も早く以前と変わらぬ穏やかな日常生活を取り戻されることを祈念し、質問に入ります。

県民の安全・安心の確保について

 

ヘルスケア・ニューフロンティアの取組について

今後、本県は全国でも一、二を争うスピードで高齢化が進展することを踏まえると、健康寿命日本一を目指す取り組みは非常に重要であると考えております。

我が会派の第2回定例会の代表質問において、知事の任期折り返しを迎えての感懐について質問したところ、超高齢社会が圧倒的な勢いで進む状況において、新たにヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みを提案し、健康寿命日本一を目指すとの発言がありました。

本定例会の知事提案説明においても、この取り組みを進め、誰もが元気で長生きできる社会を目指していくとの提案がありました。

ヘルスケア・ニューフロンティアとは、最先端医療や最新技術の追求、そして未病を治す、この二つのアプローチを融合することにより、個別化医療を実現し、健康寿命日本一を目指すという取り組みとのことです。

しかし、このヘルスケア・ニューフロンティアという新しい考え方は、まだまだ抽象的で、イメージが先行している感を否めません。

ヘルスケア・ニューフロンティアを推進する取り組みとしては、ライフイノベーション国際戦略総合特区において、最先端医療や最新技術の研究が進められていると聞いていますが、一方、県民の皆さん一人一人の健康づくりへの意識を啓発する、食や運動を基本とした生活習慣改善につなげる着実な取り組みも重要で、その双方が相まって達成されるものと考えます。

また、最近では、全国各地でヘルス・ツーリズムという健康志向の視点からの新しい旅の形も注目されており、県内には日本有数の観光地や温泉地などもあることから、未病を治すという点では、今後このような地域の魅力を生かした取り組みも重要であると考えます。

現在、健康寿命日本一を達成するための効果的な施策を検討するため、外部有識者などで構成される健康寿命日本一戦略会議を立ち上げ、検討していることは承知しています。本県がより効果的な取り組みを進めるためにも、戦略会議で出された意見や提案のほか、先進的な他県の取り組みも参考にする必要があると考えています。

さらに、本県が、健康寿命日本一を目指すためには、短期、中期、長期の各視点に立って、目標やスケジュールを具体化し、その達成に向けて効果的な施策展開を図ることが大切であります。

そこで、知事に伺います。

現時点において、ヘルスケア・ニューフロンティアを推進し、健康寿命日本一を達成するために、どのような目標を設定し、また、どのような施策を推進していこうとしているのか、知事の見解を伺います。

【知事答弁】ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みについてです。 ヘルスケア・ニューフロンティアを推進し、健康寿命日本一を達成するためには、県民の皆さんの生活習慣改善に向けた行動変容を促す日常生活における取り組みが重要であります。 そこで、健康寿命日本一戦略会議を立ち上げ、より効果的・戦略的な施策を推進するため、幅広い議論を進めています。これまでの議論では、食、運動、社会参加、この三つの視点が施策の柱となること、また、若年期からの生活習慣病予防と、高齢期の虚弱化予防に効果的に取り組むことが大切であるなどの意見をいただいています。 現在、食の取り組みとしては、医食農同源の健康観の普及、運動の推進としては、1日30分、週3回、3カ月間継続してスポーツを行う3033運動など、これらの取り組みにより、平均寿命の伸びを上回る健康寿命の延伸を進め、健康寿命日本一を目指しています。 この目標達成には、動機づけとなるインセンティブが必要であり、健康づくりの取り組みにポイントを付与する、そんな制度を検討しております。 また、企業、団体ごとに設置されたCHO、健康管理最高責任者が従業員の健康づくりを経営理念に取り入れる、いわゆる健康経営を行うことにより、健康づくりを進めていきます。 さらに、民間の力も活用しながら、県民の皆さんが参加しやすい健康づくりの仕組みを地域で展開していくことも検討しています。 今後とも、戦略会議においてさらに議論を進め、あらゆる施策を検討し、中期的な視野に立った工程表を取りまとめるとともに、今年度中にも可能なものから順次発信してまいります。

災害時に備えた医療・福祉施設の業務継続計画について

災害復旧に向けた取り組みの中で、重要な考え方の一つに業務継続計画というものがあります。これは別名BCPと呼ばれ、災害発生時にも最低限の機能を維持し、その後、迅速に本来業務を復旧させるために、自治体や企業などがあらかじめ策定しておく計画であります。

我が会派ではこのBCPの重要性に着目しており、これまでの県議会においても、市町村や中小企業のBCP策定に向けた支援などについて提言してきました。

そうした状況を踏まえ、今回取り上げたいのは、特に医療機関や福祉施設におけるBCPであります。

県民生活の安心を担保する上では、病人や高齢者、障害者などがふだん利用している医療機関や福祉施設が被災しても、早くもとの機能を取り戻すことが大変重要です。しかしながら、公共機関や大企業に比べ、医療機関や福祉施設はBCP策定の取り組みが著しくおくれています。

さきの東日本大震災では、被災地復興の過程で、医療機関や福祉施設等の復旧がおくれ、患者や入所者が大変な苦労をされたと聞いています。

内閣府が行った調査でも、大企業の46%、企業全体でも30%以上が業務継続計画を策定済みであったのに対し、医療機関で策定済みは7%、福祉施設では策定済みはわずか4.5%でありました。

本県の状況について、例えば県内に33カ所ある災害拠点病院については、災害対応の機能を含めて業務継続の体制が整備されていますが、その他の中小の病院や特別養護老人ホーム、障害者支援施設などにおいては、事前の準備がどの程度されているのか、把握されていないのが現状です。

一方で、例えば、今月上旬には、横浜市で団体主催による福祉施設向けのBCP研修会が開かれるなど、一部では主体的な動きが出てきています。

こうした現状を踏まえ、県としても、まずは県内の医療機関や福祉施設が災害時の業務の維持や復旧についてどの程度準備をしているのか、実態の把握を図るべきであります。その上で、災害に備えた業務の維持や復旧の体制づくりについて、市町村と連携して支援を行うことが重要であると考えます。

そこで、知事に伺います。

災害時に重要な役割を果たす業務継続計画について、県民生活の安心確保や災害弱者の保護の観点から、これまで策定が進んでいない医療機関や福祉施設においても、県は市町村と連携して、計画の策定支援を含め、災害時に備えた業務継続の体制づくりを促進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

【知事答弁】災害時に備えた医療・福祉施設の業務継続計画についてです。 業務継続計画、いわゆるBCPは、災害時に企業がいかに優先度の高い業務を継続し、早期に企業活動を復旧するかをあらかじめ定めておくものです。 一方、医療機関や福祉施設は一般の企業と異なり、災害時でも業務を中断することはできず、入院患者や入所者のケアに加え、負傷者の治療、避難者の受け入れなど、通常の業務以上の対応が必要になります。 このため、県は、国がBCPを提唱する以前から、災害時にも医療機関や福祉施設が業務を継続できるよう、医療救護活動や施設・設備の安全確保対策等を定める災害対応のマニュアルの策定について指導を行ってきました。この結果、多くの医療機関や福祉施設は既に災害対応のマニュアルを備えており、県はこれまで医療機関や福祉施設にはBCPの策定を働きかけてきませんでした。 しかし、医療機関や福祉施設においても、周到な備えによる被害軽減や早期の復旧といった考え方は大変重要であり、これらを含むBCPの要素を取り入れていくことは有効であると考えております。 また、今年に入り、厚生労働省もBCPの普及啓発を促すようになりました。このため、今後、県内の医療機関や福祉施設の状況を把握した上で、BCPの要素も取り入れたよりよい業務継続の体制づくりに向けて支援してまいります。

がん緩和ケア対策について

がんは、本県の死亡原因の第1位であり、3人に1人ががんで亡くなっています。今年の3月、県は、医療施策推進の根本理念である「神奈川県医療のグランドデザイン」の策定や、国が新たにがん対策推進基本計画を策定したことなどを受け、神奈川県がん対策推進計画を策定したところであります。

県がん対策推進計画では、国の計画を受け、新たにがん患者への支援とがんに対する理解の促進を施策の柱に加え、今後の本県におけるがん対策の方向と内容が示されています。

治療しながら働きたいと考えているがん患者の就労問題や、国民病とも言えるがんについての理解を進めるために、今後、がん患者の就労支援やがん教育について、専門家を交えた検討を県でも始めると聞いています。国もこれらの対策に向け、モデル事業や検討を始めており、県もこれらの動向や情報を捉え、県としての対策を進めていただきたいと思います。

我が会派では、これまで県民が身近な地域で高度ながん医療を受けられるよう地域がん診療連携拠点病院や、県独自の神奈川県がん診療連携指定病院の整備を働きかけてきました。

これにより、拠点病院は二次保健医療圏に原則1病院という国の基本的姿勢の中、本県では、全ての二次保健医療圏で拠点病院の整備が進められているとともに、複数の二次保健医療圏で二つ以上の拠点病院が整備され、現在、都道府県がん診療連携拠点病院である県立がんセンターを含めて、15の拠点病院が整備されています。

このような高度ながん医療の拠点整備が進む一方、がん患者とその家族が可能な限り質の高い生活を送れるよう、身体的、精神心理的、社会的苦痛を含めた全人的な対応を行う緩和ケアの重要性は一層高まるばかりであります。

緩和ケア病棟については、現状では、11ある二次保健医療圏のうち、川崎北部及び県央を除く九つの二次保健医療圏で整備されていますが、緩和ケアの推進に当たっては、県がん対策推進計画でも目標として掲げているように、全ての二次保健医療圏に1カ所以上の緩和ケア病棟を整備し、がん患者が身近な地域で緩和ケアを受けることができるようにすることが重要であります。

現在、緩和ケア病棟が整備されていない川崎北部及び県央の二つの二次保健医療圏には、速やかな緩和ケア病棟整備が強く求められているところであります。

また、あわせて、がん患者やその家族に対する緩和ケアへの理解の促進や緩和ケアの提供体制の充実を図ることも必要であります。

そこで、知事に伺います。

がん患者や家族に対して充実した緩和ケアを提供するに当たり、今後どのように取り組んでいくのか、伺います。

【知事答弁】がん緩和ケア対策についてお尋ねがありました。 現在、県民の2人に1人ががんにかかると言われている中、体と心の痛みに対応する緩和ケアの提供は重要な課題です。このため、今年3月に策定した神奈川県がん対策推進計画において、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進を重点施策の一つとして位置づけているところです。 緩和ケア病棟につきましては、現在、川崎北部及び県央を除く九つの二次保健医療圏で15施設、277床が整備されています。今年度は新規の施設整備や増床を行う施設があり、来年度には合わせて16施設、297床の体制になる予定です。 国は、昨年度、県の要望などを受け、緩和ケアに対する診療報酬の充実を図っており、県ではこのような国の動きや地域の状況を見ながら、平成29年度までに未整備の地域にも緩和ケア病棟が整備されるよう働きかけていきます。 また、11月にオープンする新県立がんセンターでは、緩和ケア病床を増床することとしており、緊急緩和ケア病床の確保や地域の医療機関に対する連絡・相談窓口となる緩和ケアセンターを29年度までに設置すべく検討を行っているところです。 さらに、県はこれまで緩和ケアの意義や必要性について理解の促進を図るとともに、病院が実施する緩和ケア研修を支援し、医師、看護師、薬剤師など、約3,000人を緩和ケア人材として育成しています。 今後とも、がん患者やその家族が在宅を含め、身近な地域で緩和ケアを受けることができるよう緩和ケアの理解の促進や人材の育成にも引き続き取り組んでいきます。

在宅医療について

本県では高齢化が急速に進展しており、2010年に182万人であった高齢者数が、2025年には231万人に達し、高齢化率も20.2%が26%に上昇すると見込まれています。

こうした中、県では超高齢社会の課題を克服するプロジェクトとして、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みにより健康寿命日本一を目指すこととしています。

しかしながら、それでも病気になってしまった場合、医療需要の増加に対応する病床数の増が見込めない中、入院による治療の期間を短縮し、慢性期・回復期には自宅での療養が可能となるよう、地域ごとに医療・介護・福祉が連携して、継続的・包括的に患者を支える体制を整備する必要があります。

このため、本年3月に策定した保健医療計画に在宅医療を位置づけ、今後5年間で取り組む施策を整理したところであります。また、8月に策定した地域医療再生計画にも在宅医療を位置づけ、市町村が郡市区医師会と連携して行う人材育成事業や連携拠点づくり事業に対し補助することとしており、今定例会に予算案が提案されているところであります。

「いのち輝くマグネット神奈川」の実現を目指す本県として、在宅医療の体制整備は待ったなしの課題であり、市町村と連携して積極的に推進する必要があります。

そこで、知事に伺います。

本県の在宅医療推進に当たってはどのような課題があり、それらの課題に県としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

【知事答弁】在宅医療についてお尋ねがありました。 超高齢社会においては、住みなれた生活の場において必要な医療、介護サービスが受けられ、安心して自分らしい生活を送ることが求められています。 在宅医療の推進に当たっては、かかりつけ医の定着や訪問看護人材、ケアマネジャーの育成など、医療福祉人材の育成、確保が必要であり、また、それぞれの多職種が円滑な連携を図ることが今後の課題であります。また、在宅医療にかかわる診療所や訪問看護ステーションなどの整備や、それぞれの機関の連携を担う拠点の整備についても取り組んでいかなければなりません。 県は、これまで在宅療養支援診療所などにおける訪問診療用機器の整備などを支援するとともに、市町村や医療関係団体の人材育成に取り組んできました。こうした中で、国は平成24年度補正予算において地域医療再生基金を積み増し、重点的に在宅医療を推進することとしました。 これを受けて、県では地域医療再生計画を策定し、市町村などと協調し、地域の在宅医療連携拠点整備や、現場での連携の中心となるリーダー人材の育成などに取り組むこととし、今議会に提出しております補正予算案に関係予算を計上したところであります。 さらに、今後は質の高い訪問看護人材を育成するための研修を実施するとともに、県民の方に在宅医療に取り組む医療機関の情報をわかりやすく提供することなどの施策を進め、県内どこでも適切な在宅医療を受けることができるよう取り組んでまいります。

再質問

再質問を2点いたします。

まず、1点目の再質問は、がん緩和ケア対策についてであります。

緩和ケア病棟の整備については、県からも要望があり、平成24年の診療報酬の改定で、国が緩和ケアの評価を充実したことは、前向きの要素として理解いたしました。

一方で、県財政が厳しい中、新たにインセンティブとしての施設整備補助を行うことが困難であることは承知しております。

そのような状況下で、県がん対策推進計画の目標達成に向けて、川崎北部及び県央の二次保健医療圏の緩和ケア病棟の整備について、今後どのように取り組んでいくのか、改めて伺います。

2点目の再質問は、在宅医療についてであります。

県では、超高齢社会を見据えて在宅医療の仕組みづくりを進めているところですが、一方、多くのがん患者の方々が自宅での療養を希望していると思います。そこで、がん患者の方々に対する在宅での緩和ケアの提供について、今後どのように取り組まれるのか伺います。

【知事答弁】まずは、川崎北部及び県央の二次保健医療圏について、緩和ケア病棟は未整備かどうかということでありますけれども、この地域については未整備であると私も認識しております。そこで、今後さらに地元の意向や要望を踏まえながら、病棟の整備を働きかけてまいりたいと考えております。 続いて、がん患者の在宅での医療についてであります。 がん患者の皆さんが在宅医療、在宅緩和ケアに対するニーズというのは、これは大変増加していると思っております。そのために、かかりつけ医や訪問看護ステーションなどの看護師などに対して、緩和ケア研修の積極的な受講を勧めると、こういったことなどを通じて、地域の医療従事者に対する緩和ケア人材の育成に取り組んでいきたいと考えております。

要望

ご答弁いただきましたけれども、知事も把握しているということですが、川崎北部及び県央の二つの二次保健医療圏の速やかな緩和ケア病棟の整備を強く求められておりますので、ぜひとも早急に対応していただけるようお願いいたしたいと思います。

また、在宅医療についても、私も、私の母ががんを発症いたしまして、何度かの入退院を繰り返した後、今は自宅での療養をしておりますけれども、家族を含め、協力のもと、かなりいい数値になってきているということでもありますし、また、そういった精神的なものがこの病気を治すということもあると思いますので、ぜひそういったことを全神奈川県下のがんの患者の人たちに対しても、そういった、どこに相談しに行けばいいのか、そしてまた、緩和ケアの病棟についてもそうですけれども、たくさんの方が助かるような、そういったものをつくっていってほしいなというふうに思っております。

そして、最後に、ヘルスケア・ニューフロンティアの取り組みについて要望いたしますが、健康寿命日本一への取り組みを進める上で、県民の健康はもちろんのこと、海外からの来訪者も含め、県外から神奈川県を訪れる全ての方々が健康になるといった、そういう視点も重要であると思っています。

ついては、本県の健康寿命日本一への取り組みが全国のモデルとなるよう、魅力ある施策の展開を図られることを要望いたします。


次世代を担う人づくりについて

質問の第2は、次世代を担う人づくりについてであります。

平成27年度から本格施行が予定されている子ども・子育て支援新制度においては、幼稚園・保育所について、介護保険と類似した利用者の認定制度や幼児教育・保育に対する共通の給付制度が導入されることとなっています。27年度の新入園に向けては26年の秋から園児募集を始めることとなるため、予定どおりであれば、この新制度導入まで、実質的にはあと1年しか準備期間がありません。
そこで、短期間のうちに大きな制度変更が予定されている子ども・子育て支援について、新制度への円滑な移行がなされ、かつ、より子育てしやすい神奈川の実現につながることが重要であるという視点に立ち、2点質問いたします。

認可保育所の定員増について

新制度では、保育が必要な子供に対する保育認定を行い、認定証を交付する仕組みが導入され、特に、パートタイマーなど短時間就労に対応するため、保育短時間という保育認定が新設されることが予定されています。これによって、短時間就労の保護者にも認可保育所を利用する道が開かれることは画期的であり、税と社会保障改革の一丁目一番地に位置づけられる施策とも言えます。
本県内の保育事情を見ると、近年、安心こども基金を活用して急ピッチで保育所の定員増が図られ、県内の公式の待機児童数は1,000人台まで減少したものの、認可保育所の整備率は約24%と、都道府県別では全国最下位の水準と承知しています。

このため、本県内では、認可より保育料は高いのに施設面などで見劣りがする認可外保育施設にやむなく入所している潜在的待機児童が、都市部を中心に依然として多くなっています。新制度移行後は、このような認可外保育施設の入所児童の大半が保育認定を受け、潜在的な保育需要が一気に顕在化することが予想されます。
今後は、このような潜在的な待機児童数も視野に入れて、認可保育所の定員増を図らなければ、新制度導入後、保育認定証の交付を受けても、認可保育所を利用できないケースが多発し、子育て中の県民の不満の種となってしまうことが心配されます。

国が、待機児童解消加速化プランで、新制度導入までに全国で20万人分の保育所定員増を打ち出してきたのも、このような都市部の保育事情を踏まえたものと考えられます。
そこで、知事に伺います。

平成27年度から予定されている新制度導入に先駆けて、26年度末までに全国で20万人分の保育所定員増を目指す国の待機児童解消加速化プランを活用し、新制度導入までも積極的に、潜在的な待機児童も視野に入れた認可保育所の定員増を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

【知事答弁】子ども・子育て支援新制度導入に向けた認可保育所の定員増についてです。 本県における待機児童数は、平成25年4月1日現在で1,462人まで減少したものの、近所に認可保育所ができたら、子供を預けて働きたいといった根強い潜在的保育ニーズがあります。加えて、一定の基準を満たす認可外保育施設である認定保育施設を利用している子供など、現行制度では待機児童にカウントされていない、いわゆる隠れ待機児童も存在しています。 平成27年度からの新制度では、これらの潜在的な待機児童も公的な保育サービスの対象となりますので、保育所不足の深刻化が懸念されます。そこで、県は、保育の実施主体である市町村とともに、潜在的な待機児童も視野に入れた保育の受け皿確保に取り組んでいきます。 このため、平成25年度当初予算で計上した保育所整備費補助について、市町村や事業者に一層の活用を働きかけ、当初の見込みである4,200人分にできるだけ上積みした定員増の実現を図っていきます。 さらに、待機児童解消加速化プランに基づき、認定保育施設を対象に、認可への移行を市町村とともに支援する新規事業を9月補正予算で提案させていただいているところです。 今後は小規模保育への支援など、これから事業化が予定されている加速化プランのメニューについて、国に実効性の高い施策化を働きかけるとともに、引き続きプランを活用し、積極的に認可保育所の定員増を図ってまいります。

新制度の影響を大きく受けることとなる私立幼稚園への対応について

私立幼稚園は、新制度への移行を希望しなければ、現在の私学助成にとどまることもできるとされているものの、新制度の内容が複雑な上、いまだ具体的な内容が明らかになっていない部分も多いため、幼稚園関係者は迷いと不安でいっぱいであります。

また、保育士不足が大きくクローズアップされ、その陰に隠れてしまっている感がありますが、幼稚園教諭の人材確保も問題です。実は、新卒保育士の多くは幼稚園教諭免許も持っているため、幼稚園と保育所のどちらに就職するか選択できます。このため、保育所に就職する新卒者がふえると、幼稚園に就職する新卒者が減ってしまうこととなります。
今後、新制度導入に向けて、待機児童解消加速化プランによる保育所整備に拍車がかかると、そのあおりを受けて、幼稚園教諭の人材確保の困難も増してきます。
本県は、全国的に見て、就学前児童の教育・保育において、私立幼稚園の占める割合が高く、それが神奈川の特徴でもあります。このような中で、新制度の円滑な導入を図る上では、私立幼稚園への対応が鍵を握っていると言っても過言ではありません。

私立幼稚園は、子ども・子育て支援新制度の大きな影響を受けることになりますが、関係者は、複雑でわかりづらい新制度に戸惑い、制度移行のスケジュールが非常にタイトなことに焦りを感じている上、保育士不足の深刻化に伴う幼稚園教諭の不足についても不安を募らせています。

そこで、知事に伺います。

県として、新制度導入に向けて、私立幼稚園への対応については、どのような姿勢で臨まれるのか、幼稚園教諭の人材確保も含めて、伺います。

【知事答弁】私立幼稚園への対応についてです。 私立幼稚園は、新制度においては、現行の私学助成の対象施設として継続するか、新たに導入される給付制度の対象施設に移行するか、いずれかを選択することとなります。しかし、給付の内容は、26年度に明らかになるとされているため、私立幼稚園関係者は新制度にどのように対応すべきか不安を抱えています。 そこで、県は、国からの最新情報を迅速かつ的確に伝えるために、県内各地で説明会や個別相談会を実施しています。今後は、幼稚園長の研修会などに県の担当職員を派遣する新制度出前キャラバンも実施するなど、新制度の主体となる市町村とも連携しながら、私立幼稚園へのよりきめ細かい対応に努めていきます。 また、保育士と幼稚園教諭の両資格を持つ新卒者が多い中で、近年、県内では保育士の大量採用が続いていることから、私立幼稚園での幼稚園教諭の確保が難しくなっていると聞いております。 そこで、幼稚園・保育所への調査を実施し、幼稚園教諭、保育士の需給状況を把握するため、本定例会に関連する事業予算を提案させていただいているところです。 その調査結果に基づき、今後策定する27年度から5年間の県子ども・子育て支援事業支援計画に幼稚園教諭を含めた人材の確保、育成策を位置づけ、県としてしっかり対応してまいります。

特別支援学校の職業教育の充実について

次に、特別支援学校における職業教育の充実について伺います。

特別支援学校に在籍する児童・生徒がふえています。とりわけ、知的障害教育部門高等部の生徒は増加傾向が顕著で、障害のある生徒が社会的に自立できるよう、職業教育を充実させながら就労の拡大に取り組むことが重要であります。

特別支援学校では、生徒一人一人の教育的ニーズに応じて、校内での指導に加えて産業現場での実習等、卒業後の自立と社会参加を目指した多様な職業教育が展開されています。
また、障害者の雇用に関する国の動きとしては、今年4月からは障害者の法定雇用率が2%に改正されています。さらに、文部科学省の平成26年度の概算要求には、自立・社会参加に向けた高等学校段階における特別支援教育の充実事業等が盛り込まれています。加えて、神奈川の教育を考える調査会最終まとめで、地域における自立促進の仕組みづくりとして、県立の専門高校と特別支援学校が連携した実習プログラムや職業体験プログラムの工夫等が盛り込まれています。

こうした状況の中で、障害者の雇用を促進したいと考える企業もありますので、企業等と連携した就労支援の取り組みは一層重要であると考えます。また、特別支援学校では、実習先の拡大に加え、職業教育で障害のある生徒が目標を持って主体的に学習することで、働くために必要な力の育成を図り、生徒の適性や企業のニーズに合った就労支援を進める必要があると考えます。
例えば、広島県のように、職業教育に生徒が目標を持って意欲的に取り組めるよう独自の技能検定を実施することも有効な方法と考えます。

そこで、教育長に伺います。

特別支援学校の企業と連携した就労支援と就労状況はどのようになっているのか、また、今後、職業教育の中で技能検定等を実施されるのか、伺います。

【知事答弁】特別支援学校の職業教育の充実についてお尋ねがありました。 県教育委員会では、障害のある生徒の自立と社会参加を進めるため、生徒が企業で実習体験をすることは大変意義のあることと考えております。平成24年度は約660社に及ぶ企業の協力を得て、生徒の職場実習を行ったほか、保護者の企業見学会、教員の企業での実務研修などを実施しています。 こうした取り組みを行うことにより、生徒の働く意欲や社会性が高まるとともに、保護者の就職に対する理解が深まり、教員は実務研修の成果を進路指導に生かすなど、きめ細かな支援、就労支援につなげています。 その結果、平成24年度の知的障害教育部門の高等部の生徒の就労率は30.8%となり、前年度に比べて5.9%上昇いたしました。 今後は、職業教育をより一層推進するため、これまで行っていたワープロなどの外部検定に加え、新たに企業と連携して生徒の技能の到達度をはかる本県独自の技能検定の仕組みを導入することとしました。 この仕組みを導入することで、生徒にとっては目標と自信が持てるようになり、働く意欲や知識、技能の向上につながります。また、教員にとっては生徒への指導目標が明確になり、企業にとっては生徒の能力や技能を把握できることから、生徒の就業に結びつくものと期待をしています。 現在、技能検定を行う職種や評価をする際の項目、基準についても検討を進めており、先進的な広島県の例なども参考に、早期に導入してまいります。

再質問

認可保育所の定員増について再質問いたします。

ただいま、知事から、子ども・子育て支援新制度導入までの待機児童対策についてご答弁いただいたところでありますけれども、本県の認可保育所の整備率が大変低いことを踏まえますと、新制度による保育認定を受けた子供全員が、制度移行後、直ちに認可保育所を利用できるようになることは、現実にはなかなか難しいと思われます。

しかしながら、後年度負担の増加を心配して、認可保育所の供給を拡大することに消極的な市町村も少なくないと聞いており、平成27年度から5年分の保育所の供給量を定める市町村子ども・子育て支援事業計画と、同時に策定する県子ども・子育て支援事業支援計画の策定が大変重要になってくると考えます。

県では、先日9月9日に第1回の県子ども・子育て会議が行われ、計画策定に向けた検討に着手したところと承知しておりますけれども、今後、市町村及び県の計画における保育所の供給量の目標設定について、どのような考え方で臨んでいくのか、伺います。

【知事答弁】保育の供給量の目標設定について、どのような考えで臨むのかということであります。 この保育の供給量の目標につきましては、県、市町村で定める計画の中に位置づけることとしております。子ども・子育て支援の県計画といいますのは、市町村計画を積み上げる形で策定することになっていますが、市町村の計画の策定に当たっては、県との法定協議といったものが義務づけられております。 そこで、県は各市町村が保育ニーズを満たせる目標を設定できるようリーダーシップを発揮しまして、適正な県計画の策定につなげていきたい、このように考えております。 また、新たな施設を整備するだけではなくて、既存の施設の活用などによって、保育ニーズの変化に弾力的な対応が図れるのではないか。例えば、分園方式でありますとか、国が新たに制度化する小規模保育、こういった小回りのきく保育事業の積極的な活用、こういったものも働きかけていきたいと考えております。

要望

今の認可保育所の定員増についてでありますけれども、今、知事がおっしゃったとおり、いろいろな形でのこれからの定員増というのは、施設の形というのは、いろいろなあり方があると思うんですけれども、いろいろなことを県がリーダーシップをもって、市町村にも働きかけをしていただきたいと思います。そして、この目標設定に関しましても、市町村に対して、県のほうからこの目標設定を上げていただけるように働きかけをしていただきたいと思っております。

また、あと、2点ご要望させていただきますが、私立幼稚園への対応についてであります。

私立幼稚園については、新制度が園の将来にもたらす影響が極めて大きいことに最大限配慮して、十分な対応をお願いしたいと思います。

特に、幼稚園教諭の不足については、保育士不足の陰に隠れて、マスコミでもほとんど取り上げられていませんけれども、幼児教育の根幹にかかわる重要な問題であると考えております。今後、県としても、早急に現状を把握するとともに、必要があれば、国への働きかけも行っていくよう要望いたします。

ちなみに、私の娘も幼稚園、保育士の免許を取りましたけれども、今年、幼稚園教諭になりました。幼稚園教諭の父としても、どうぞよろしくお願い申し上げます。

次に、特別支援学校における職業教育の充実についてであります。

特別支援学校の職業教育に対する取組状況や、技能検定を実施しようとする方向性については理解いたしました。障害のある生徒の自立や社会参加を進める上で重要なことと考えていますので、速やかな実施に向けての計画をまとめられるよう要望いたします。

また、先ほど教育長からお話もありましたように、企業との連携というのはとても大事だと思います。企業のニーズに合わせた形で、特別支援学校との連携というのはしっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。


県政の諸課題について

質問の第3は、県政の諸課題についてであります。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催について

2020年夏季オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京に決定しました。この喜ばしい報を受けて、政府では文部科学省内に準備本部を設置し、東京五輪担当大臣を新設いたしました。また、東京都では、庁内一丸となって開催の準備をするための庁内横断組織を設置したと聞いています。

県内では、横浜国際総合競技場がサッカーの競技会場になっているだけでありますが、都心に集中する競技会場や、空の玄関口となる羽田空港との交通が至便な本県にとってみれば、今回のオリンピック・パラリンピックの開催は、経済を活性化する絶好の機会となります。

そこで、知事に伺います。

今回のオリンピック・パラリンピックの開催を受けて、県では、観光を初めとする県経済の活性化にどのように結びつけていこうとしているのか、また、隣接県として、可能な限りの支援や応援をしていくべきと考えますが、そのための組織体制をどのように整備していくのか、あわせて伺います。

【知事答弁】2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催についてであります。 2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、私は2020年という一つの目標ができたと感じております。今仕掛けているさまざまな施策をそのゴールに向かって仕掛けていこう、完成させていこうと思いました。はっきりしていることは、2020年に世界中からこの日本に人が集まってくるということです。 それと同時に、世界中のメディアがこの日本にやってきて、2020年の日本を全世界に向けて発信する、震災から9年たったこの日本の現状というものを世界に向けて発信する、これだけは間違いありません。その段階で、どんな神奈川をアピールできるか、それを中心に考えていきたいと思っているところです。 世界中から集まってくるお客様に対しては、ぜひ神奈川のすばらしい観光地、今は新しい観光の核の認定事業と言っていますけれども、実際に新しい観光の核のところに行っていただける、そんな時代にぜひしたいと思いますし、今、例えばヘルスケア・ニューフロンティアなんて言っていますけれども、そのときに超高齢社会を乗り切るモデルはこういうことなんだということを、世界のレポーターたちが必死で訴えている姿、それとか、例えば独立型のエネルギー体系、あの福島第一原発から9年たった、神奈川はこんな独立型のエネルギー体系を目指して、ここまで来ていますよということをレポートしてもらえるような、そんな神奈川、それとともに、例えば医食農同源といったもの、これが未病を治すということなんです。世界中のレポーターがそういうことをレポートする、そんなことを想定しながら、この神奈川を全面的に、今やっている施策を前進させていきたい、そう考えているところであります。 こうした政策を2020年までに見える形にするために、私をトップとします庁内横断組織、五輪のための神奈川ビジョン2020推進本部、これを設置いたします。そうした体制を整備することで、2020年というゴールに向かって重点施策をどのような形にするかというものを議論し、その取り組みを加速させていくとともに、今回のオリンピック・パラリンピックの成功に向けて、できる限り支援していきたいと考えております。

海外駐在員事務所のあり方について

第2回定例会における我が会派からの海外戦略についての代表質問に関して、知事からは、今後の中小企業の海外展開支援について、進出ニーズの高いアジア地域を重視する、直接進出に対する支援を強化することが必要であるとのご答弁がありました。

また、具体的な支援策としては、今年1月に県内中小企業の海外展開支援に関する協定を締結した民間金融機関等との連携を強化するとともに、進出ニーズの高いアジアでの体制整備を早急に検討し、調整するということで、海外駐在員事務所について、知事からは限られた資源を効果的に活用していくという観点から、海外駐在員事務所の配置全体について検討していくとのご答弁がありました。

これまで我が会派では、海外駐在員事務所のあり方について、設置目的の妥当性、ビジョンの有効性、時代の変化への適合性などを絶えず検証することが大切であり、県民や県内企業のニーズをしっかりと把握し、さらには本県の置かれた現状、今後の見通しなどを総合的に判断して、配置先を検討すべきであると提案してきました。

こうしたことからも、今回、知事が中小企業のニーズ等を踏まえて、アジア重視の方向性を示し、海外駐在員事務所の配置の検討に着手されたことは、我が会派としても評価するものであります。

そこで、知事に伺います。

海外駐在員事務所の配置については、知事が示した方向性に沿って、効果的な配置を行う必要があると考えますが、第2回定例会以後、これまでの間、海外駐在員事務所の配置に関しての検討状況並びに今後の方向性について、伺います。

【知事答弁】海外駐在員事務所のあり方についてお尋ねがありました。 進出ニーズの高いアジア地域での県内中小企業の支援体制を充実させていくため、これまで庁内での検討や関係機関との調整を行ってまいりました。アジア地域での進出支援に当たっては、今年1月に民間金融機関等と締結しました県内中小企業の海外展開を支援する協定を活用し、その連携を強化していくことが重要であります。 例えば、横浜銀行はアジア地域に上海支店のほか、バンコクと香港に駐在員事務所を設置しています。また、東南アジアに拠点を置く四つの銀行と業務提携するなど、同地域での中小企業支援に関するノウハウや実績を持っています。そこで、横浜銀行のバンコク駐在員事務所に県職員を派遣することが可能かなど、同行の海外ビジネス網との連携強化について話し合いを進めています。 また、アジア地域において、県内中小企業の支援ニーズに十分応えていくためには、進出数が最も多く、今後も進出が見込まれる中国での支援を強化する必要があります。そのため、神奈川産業振興センターが設置している大連神奈川経済貿易事務所に県職員を派遣する方向で検討を進めています。 こうしたアジアでの支援体制の整備を図るとともに、限られた資源を効果的に活用していくという観点から、欧州、北米事務所についてもそのあり方を検討してまいりました。 欧州事務所については、県内中小企業の支援ニーズや県政課題との関連などを総合的に検討した結果、早ければ今年度末にも廃止する方向でJETROと調整に入っています。 一方、北米事務所については、ライフサイエンス関連の政府機関等の集積地域に所在し、ライフイノベーション国際戦略総合特区の業務推進の役割を期待できますので、当面は存続していきたいと考えています。 今後、こうした方向性に沿って、さらに関係機関と調整を進め、県内中小企業の海外進出ニーズに沿った駐在員事務所の再編整備を具体化してまいります。

児童虐待の発生予防の取組について

県内の児童虐待相談対応件数は、平成24年度、8,324件で、これまで最多であった平成22年度の7,466件を大幅に上回り、過去最多となっています。児童虐待相談対応件数の増加は、県民の児童虐待に対する関心の高まりや、関係機関等に通告義務の周知が図られたことから、早い段階での通告がふえてきたものであり、早期発見につながることで、重篤事例となることを防ぐのに一定の効果もあると聞いています。

一方、全国に限らず、本県においても、児童虐待による死亡事件等、深刻な事案も引き続き発生しており、実際に児童虐待相談対応件数がふえているという事態を重く受けとめるべきであると認識しています。

これまで児童虐待防止対策として、県は児童相談所の体制を強化し、市町村の要保護児童対策地域協議会を通じて、保健、教育、警察など関係機関との連携を図り、早期対応に積極的に取り組み、県民の身近な地域における児童虐待の相談体制の強化を図ってきたと承知しています。

しかし、児童虐待防止対策として最も重要なことは、虐待が発生してから対処するのではなく、虐待そのものを減らしていくことではないかと考えます。

医療の分野でも、知事は、病気を治すということではなく、発病には至らない症状のうちに治すという未病対策のアプローチを提唱されていますが、児童虐待防止対策においても同様に、発生予防の観点からの取り組みが必要ではないかと考えます。

そこで、知事に伺います。

児童虐待の発生予防の観点から、県は現在どのような取り組みを行っているのか、また、今後どのように取り組んでいこうとしているのか、伺います。

【知事答弁】児童虐待の発生予防の取り組みについてです。 県はこれまで早期発見・早期対応を中心に児童虐待防止に取り組んできましたが、児童虐待の相談対応件数がふえ続ける中では、より根本的な対策として、発生予防の取り組みを強化する必要があります。 発生予防については、子育て家庭に身近な市町村が中心となって取り組むこととされており、現在、赤ちゃんの生まれた家庭全てを訪問したり、育児の悩みを気軽に相談できる場づくり等を進め、保護者の育児不安の解消や孤立化を防ぐ取り組みが展開されています。 県としては、市町村支援のため、このような取り組みに従事するスタッフに対する研修や育児に悩みがちな保護者がよりよい子育ての方法を学ぶ親育ち支援プログラム、この普及を進めています。 さらに、保健福祉事務所が中心となって、産科や小児科の医療機関と連携し、育児に強い不安を抱えている母親などの情報を市町村の母子保健担当部署につなげる取り組みを広げております。 今後、虐待のリスク要因を抱える保護者を的確に把握し、必要な支援を提供することにより、発生予防の取り組みを強化していくことが重要です。そのため、市町村が中心となって、保健、医療、福祉などの関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会のネットワークを活用して取り組みを進めていく必要があります。 その際、県としてどのような支援が必要かについて、専門家の意見も聞きながら、今後策定する子ども・子育て支援事業支援計画に位置づけ、県と市町村が連携して、児童虐待の発生予防に取り組んでまいります。

体罰根絶に向けた取組について

昨年末、大阪市立高校における体罰を背景とした痛ましい事件の発生を受け、全国的に実施された体罰の実態調査で、残念ながら、本県においても多くの学校で体罰が確認されました。

さきの第2回定例会で、我が会派の代表質問において、この実態に対する認識と、今後の取り組みについて伺い、教育長から体罰の根絶に向けて、学校、保護者、市町村と一体となって取り組むという決意が述べられたところであります。

その後、教育委員会が体罰防止ガイドラインを作成し、教職員に実践例も含めた具体的な研修を実施するとともに、生徒、保護者の不安をなくすため、総合教育センターに加え、新たに教育委員会内にも体罰専用の相談窓口を設けるなどの対策に取り組んだことは承知していますが、体罰根絶を実現するため、今後も継続的に対応していくことが必要と考えます。

また、先日、県議会文教常任委員と教育委員とで体罰防止について意見交換を行い、体罰防止ガイドラインの活用や体罰が発生する社会的背景などについて議論したところであります。

体罰は学校だけではなく、地域社会のいわゆるスポーツクラブにも発生していると聞いていますが、学校とも関連の深い地域のスポーツ団体にも、体罰は決して許されるものではないという認識を浸透させていくことも必要と考えます。

そこで、教育長に伺います。

体罰根絶は早急に実現すべきものでありますが、その実態を把握するため、昨年度末に実施した体罰の実態調査は継続すべきものと考えています。また、地域スポーツ団体等における体罰相談の窓口の設置や指導者への意識啓発も必要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。

【教育長答弁】体罰根絶に向けた取り組みについてお尋ねがありました。 本年1月に実施した全国一斉の体罰実態調査では、これまで表面化してこなかった多くの体罰事案を把握することができました。今回の実態調査の結果から、児童・生徒が直接、学校に体罰を訴えにくい環境にあること、また、教職員の体罰に対する認識の甘さや指導力不足などが体罰発生の要因として明らかになりました。 こうした実態を踏まえ、教育委員会では、児童・生徒の声を直接受けとめる体罰相談窓口を新たに開設するとともに、体罰防止ガイドラインを作成し、体罰防止と教職員の意識改革に取り組んでいます。 今後も、児童・生徒の声を直接受けとめるとともに、体罰防止の取り組みの効果を確認するためにも、引き続き県独自の実態調査を行いたいと考えています。 また、地域スポーツ団体の多くが加盟する県体育協会では、倫理規定を整備するとともに、教育委員会と連携した取り組みとして、独自の相談窓口を年度内に開設する準備を進めています。さらに、それぞれの加盟団体に対しても、同様の取り組みを行うことを働きかけています。 教育委員会ではこうした取り組みを進める県体育協会と連携して、体罰防止ガイドラインを活用した協会主催の研修に講師を派遣するなど、スポーツ指導者への意識啓発を図り、体罰の根絶に努めてまいります。

女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取り組みについて

社会における女性の参画は徐々に増加しているものの、さらなる女性の活躍を推進するためには、実効性のあるポジティブ・アクションを推進することが必要であります。

その一方で、平成25年警察白書によると、女性が被害者となった刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、女性の生命を脅かすストーカー事案、DV事案や、女性の尊厳を踏みにじる性犯罪の認知件数は増加しつつあり、女性被害者等に対する多様な対応が求められているところであります。

こうした社会の情勢に柔軟に対応し、治安を維持するには、従来の警察活動に加えて、女性警察官の活用が不可欠であります。女性の視点を初めとするさまざまな女性の力を積極的に取り込むためには、女性警察官の採用を拡大し、警察の組織力を質的に強化する必要があり、さらに、女性警察官がその能力を十分に発揮し、組織を活性化していくためには、能力や実績を有する女性警察官を積極的に登用すべきだと考えています。

そのような中で、県警察においては、平成33年4月1日までに女性警察官の割合が10%程度となることを目標として、女性警察官の採用の拡大を図っているところでありますが、優秀な女性警察官を採用するためには、工夫を凝らした採用活動の強化が必要であります。

また、採用後についても、出産、子育て等により離職するような状況があるとすれば、県民及び警察にとっても大きな損失であり、職員本人にとっても、警察官の道を断たれることとなることから、仕事と家庭の両立支援策の推進や施設整備の充実などを図り、女性警察官が子育てをしながら働き続けるための環境を整えることも重要であると考えています。

そこで、警察本部長に伺います。

県警察では、女性の視点を一層反映させた対策の推進や女性の力を活用した強く優しい警察に向けて、優秀な女性警察官を採用するため、どのような工夫を図っているのか、また、採用された女性警察官が働き続けられるための環境整備について、どのように取り組んでいるのか、伺います。

【警察本部長答弁】女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取り組みについてお答えします。 県警察では、女性警察官約1,100人、警察官総定数の約7.2%の現時点から、平成33年4月1日までにこれを約1,600人、総定数の約10%に拡大することを目標として、優秀な人材の確保に努めております。 このため、採用試験においては、平成23年度から体格基準を緩和するとともに、平成24年度には、それまで年1回であった採用試験の回数を男性警察官と同様、年2回とし、門戸を広げる措置をとってまいりました。 今年度からは、出身高校や大学等を訪問する女性リクルーターを増員するとともに、新たに女性のみの採用説明会を開催するなど、募集活動の強化にも取り組んでいるところであります。 また、家庭を持つ女性警察官のための環境整備として、本年4月1日から、仕事と家庭の両立支援施策であるピーガルキッズサポート制度を創設し、保育園への送迎、帰宅時までの預かり等の子育ての支援を希望する職員に対し、保育ママとして登録している職員家族等を紹介しております。 さらに、本年5月1日には、職員と家族専用のインターネットサイト、神奈川県警察子育て支援サイトを開設し、育児に役立つ各種情報のリンク集や、ネット上で医師、保育士への相談ができる窓口等を設けることにより、子育てしながら仕事ができる環境づくりにも努めているところであります。 一方、働きやすい職場環境の整備につきましては、職員から要望が高かった警察署の女性専用シャワーの整備を重点的に実施するとともに、女性警察官が配置されている交番への女性専用の休憩室やトイレの設置を進めています。 県警察では、今後とも優秀な人材の確保に配意しながら、計画的な採用拡大を図るとともに、女性警察官が働き続けるための環境整備にソフトとハードの両面から取り組んでまいります。

再質問

再質問を2点いたします。

まず、1点目の再質問は、海外駐在員事務所のあり方についてであります。

海外駐在員事務所について、再編を、今後具体化していくためにさまざまな課題があると推察しますが、現時点ではどのような課題があると認識しておられるのか、また、先ほどご答弁がありましたように、欧州事務所を廃止した場合、同事務所が担っていた企業誘致、県内中小企業の欧州での海外展開支援については、今後どのように対応していくのか、あわせてお伺いします。

【知事答弁】海外の駐在員の再編に向けての課題でありますけれども、職員を海外に派遣するに当たって最も大きな課題となっているのは、ビザなどの取得に関することであります。これは国によって違いがあるのですけれども、どのような業務を行うんだと、職歴、職務経歴まで細かく審査されまして、場合によってはビザの取得ができない、職員を派遣することもできない、そういったケースも想定されますので、関係機関と十分な調整を行う必要がある、慎重にやってまいりたいと考えているところであります。 次の質問で、欧州事務所を廃止した場合の後の対応であります。 欧州事務所を廃止するといいましても、欧州企業の誘致、それから、現地での県内中小企業の支援、これは県内の経済活性化にとっては大変重要なことだと、それは認識しております。 したがいまして、今後、国内での外国企業誘致活動の強化、それから現地ではJETROや民間金融機関等との連携などの活用ということもあります。それから、これまではちょっと禁止をしていたんですけれども、かなり自粛をしていたんですけれども、職員の海外出張、こういったものによって対応するといったことですね。 こういったことで、欧州事務所が果たしていた役割を補完できるような代替策を検討しまして、事務所を廃止しても、海外戦略、これに支障がないよう努めてまいりたいと考えております。

2点目の再質問は、体罰根絶に向けた取り組みについてであります。

体罰問題につきましては、教育長から、実態把握のための調査を昨年度に引き続き実施するというお答えをいただきましたけれども、日常的には、新たに設置した体罰の相談窓口により対応していかなければならないと考えます。

現在、総合教育センターで体罰の相談も受けているということは承知しておりますけれども、教育委員会に新設した電話相談窓口は通常の執務時間のみの対応であるため、生徒が下校してから、夜間は対応できないということは問題であると考えますが、どのように認識されているのか、改めて伺います。

【知事答弁】夜間の相談窓口についてですが、必要については認識をしております。今回、保健体育課に新たに設置した相談窓口に加えまして、総合教育センターの24時間体制の相談窓口についても、体罰相談の窓口として位置づけ、児童・生徒に対して、いつでも相談が可能であるということを周知してまいります。

要望

今、海外駐在員事務所のあり方について、知事からご答弁をいただきました。

JETRO、そして民間金融機関等の連携というのは非常に重要になってくると思いますし、また廃止される欧州事務所のことに関しましても、県内の企業が進出するに当たって、また向こうで仕事をするに当たって、支障のないように、そういった対応をとっていただきたいというふうに思っております。

また、体罰の根絶に向けた取り組みについて、ご要望させていただきます。

教育委員会が策定した体罰防止ガイドラインを用いて、地域のスポーツ団体の指導者についても研修を行うとの答弁がありました。また、それに加えて、教員を目指す学生への対応として、県内の教員養成課程を持つ大学への配布や、教員の新卒採用研修での活用など、より効果的に取り組まれるよう要望いたします。

また、この体罰、そしていじめの問題、将来を担う子供たちの問題というのは多々ありますけれども、その子供たちが、将来、夢や希望が持てる、そういったことに全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。

また、先ほど知事からオリンピック・パラリンピックについて熱い思いを聞かせていただきましたけれども、海外から来られる方々、そしてこの神奈川に来られる方々、たくさんの方がこの神奈川に来ていただけるように、神奈川の魅力というものを十分に出していただいて、そしてサッカーだけではなくて、ほかの競技もこの神奈川でやっていただけるように、知事、東京に対してもぜひお力を注いでいただきたいというふうに思います。ぜひとも、この2020年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて、私たちも全力で頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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